簡単な工作で商品の使いやすさをお客に体験してもらう方法
2011/08/08 06:28
例えばお皿などのように調度品が壊れてしまった場合、修復するよりは買い替えた方が、早くて安上がり。大量生産・大量消費の社会ではそれが一般的だが、少しお高い商品や、元の商品が手に入りにくい場合、さらには【震災の不安が人々を保守的に】にもあるように価値観の変化に伴い、多少の破損なら直して使い続けるという事例が増えている。そのような状況下で一番よく使われるのは、いわゆる「接着剤」。対象にもよるが、そしてある程度跡は残ってしまうものの、例えば花瓶などの調度品なら(破片さえ確保できていれば)ほぼ完ぺきに元の姿に修復できる。しかしその事実は知っていても実際に直した経験の無い人は、接着剤の便利さをイメージすることは難しい。そこで考え出されたのが、今回紹介するロシアの広告である(I Believe in Advertising)。
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↑ 雑誌に折り込まれた、割れた花瓶と接着剤の広告。右側には折り方を指示する説明書き。
これは雑誌広告などとして折り込まれた、Sekundaという名前の接着剤の広告(あるいはダイレクトメールとしても配されたようだ)。ぱっと見では粉々に砕けいくつかの破片になってしまった花瓶、そしてその破片にかぶさるように配されている接着剤の姿が確認できる。そしてその横には、折り方を指示する説明書きが。
広告を受け取った人は説明書きの指示に従い、手元の広告を折り込んでいく。すると破片の部分が折り込まれて見えなくなり、修復するのに使われた接着剤が配された、元のキレイな花瓶が出来上がるという仕組み。
↑ 指示に従って折り込んでいくと、破片が消えて元のキレイな花瓶が完成する。
↑ 完成した「修復済み花瓶」。接着剤で修復したことを自己主張するため、その姿も確認できる。
接着剤を使えば、割れた調度品を直せるという事実は、多くの人が知っている。しかしその容易さは体感してみないと分かりにくい。そこで同じように「簡単な作業で想像もできないような造形が完成する」折り紙の手法を提示し、「思っているよりもはるかにシンプルに、形を再生することができるのですよ」ということを表現すると共に、修復できた時の驚きをも再現・提供している。
日本ほど「折り紙」が普及していないこと、そして一方で昨今では「Оригами(折り紙)」という言葉が用いられ、一枚の紙からさまざまな造形を創生する折り紙の技術が「芸術」として高い評価を受け、多くの人の注目を集めていることから、今件の広告は大いに注目を集めることになった。
↑ ロシアの子供達による折り紙の披露の一例。
原文によれば「ダイレクトメールを受け取った人の多くは、接着剤は使いにくい、修復は面倒くさいなどの偏見を改め、より多くの機会で接着剤を使うようになった。結果としてSekundaは他の接着剤よりも知名度を高め、売上をアップすることになった」とある。具体的にどれほどの効果が得られたかまでは分からないが、「接着剤を使えば元通り」というイメージ的な効用は、多くの人がつかみ得たに違いない。
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