付録付き雑誌「魅力を感じる」約4割
2011/08/03 06:37
マイボイスコムは2011年7月27日、雑誌に関するアンケート調査結果を発表した。それによると調査母体においては、付録つきの雑誌に対して魅力を感じる人は4割足らずに留まっていることが分かった。感じない人は3割近く、どちらともいえない人も3割近くという回答が出ている。昨今とみに見かけるようになった付録つきの雑誌だが、必ずしも魅力回復のため起死回生策とは言い切れないようだ(【発表リリース】)。
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今調査は2011年7月1日から5日にかけてインターネット経由で行われたもので、有効回答数は1万2124人。男女比は49対51で、年齢階層比は10代1%・20代10%・30代27%・40代32%・50歳以上29%。
例えば【ゲーム・エンタメ系雑誌の部数変化(2011年1月-3月データ)】で紹介した「アニメディア」「PASH!」のクリアファイルの付録のように、若年層向けのファンをターゲットにしたエンタメ系をテーマとする付録は、雑誌の販売部数を大きく底上げする傾向がある。それを受けてか昨今では青年層-中堅層向けの雑誌にも付録が多く導入されるようになり、コンビニの雑誌売り場では多種多様な付録でふくらんだ女性誌がずらりと並ぶ情景をしばしば見かける事になる。
このような付録つき雑誌に対し、一般的に魅力を感じるか否かについて聞いた結果が次のグラフ。肯定派は4割足らず、否定派は3割足らずで、両派だけを比較すれば肯定派が多い結果となっている。
↑ 付録付き雑誌に魅力を感じるか
しかし見方を変えれば、「付録をつけても魅力を感じる人は4割に届かない。あとの6割は効果を期待できない」ということになる。「強い魅力」は1割に届かない点もあわせ、起死回生策としては弱い。
詳細データは未公開だが、元資料では「女性は感じる派は半数近い。男性は感じない派が感じる派を上回っている」「若年層ほど感じる派が多い」という言及がある。直前のクリアファイルの例や、「コロコロコミック」のような幼年期向けのコミックで、普及しているゲームのカードが付録になる事例、直上の女性誌の事例(例えば化粧品のテスターやバッグ、調理器具)などをよく見かけることを思い返せば、納得のいく話ではある。
雑誌に付録をつけることは、一見雑誌売上向上の万能薬のように見える。紙媒体内のコンテンツ以外で、購入動機誘引を付与できるからだ。場合によっては本紙ではなく付録の魅力で手を取る「短期客」も見込める。
一方で生産工程の複雑化と締切のタイト化、小売店の手間の増加(大抵において付録を雑誌に挟み込み、ゴムひもなどで縛るのは、小売店の作業)、店頭に並べられる時の数の減少(付録分だけかさばる)、そして何より「どちらがメインなのか」という本末転倒性など、マイナス要素も多い。さらに【立ち読みとマナーの悪さと公衆道徳】で指摘しているように、盗難リスクも高くなる。また雑誌単価は必然的に上昇するので、「付録を必要としない読者」にとっては割高となり、逆に魅力を減退させるというリスクが生じる。
雑誌の特性や読者層の傾向にもよるが、付録はあくまで付録でしかなく、オマケに過ぎない。デアゴスティーニ発の「週刊-」のように付録がメインのものならともかく、本末転倒な構成は「雑誌が雑誌であり続ける」のには、避けた方が良さそうだ。
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