雑誌を買う場所どこだろう、大型書店にコンビニ、そして

2011/08/02 07:05

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コンビニの雑誌の棚マイボイスコムは2011年7月27日、雑誌に関するアンケート調査結果を発表した。それによると調査母体においては、雑誌の平均購読数は月1.25冊となり、1冊も購入していない人は過半数を数えていることが分かった。そして雑誌購入者における購入場所としては、「単独で立地している大型書店」がもっとも多く、「大型スーパーやデパートなどで営業している大規模書店」、そして「コンビニ」、さらには「オンライン書店」が多くの人に使われているのが確認できる(【発表リリース】)。



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今調査は2011年7月1日から5日にかけてインターネット経由で行われたもので、有効回答数は1万2124人。男女比は49対51で、年齢階層比は10代1%・20代10%・30代27%・40代32%・50歳以上29%。

可処分所得の減少や雑誌の質の変化、携帯電話・スマートフォンや携帯ゲーム機の普及など移動時の時間つぶしに適したツールの多様化で、雑誌のニーズは減少している(【出版物の種類別売上の変化】)。今調査でも雑誌を実際に購入している人の割合は半分を切り、過半数は「一か月に一冊も雑誌を買っていない」と回答している。

↑ 1か月あたりの雑誌購入冊数
↑ 1か月あたりの雑誌購入冊数(再録)

↑ 1か月あたりの雑誌購入冊数(概算平均値)
↑ 1か月あたりの雑誌購入冊数(概算平均値)(再録)

それでは雑誌を買っている人は、どこで買い求めているのだろうか。購入者を対象に複数回答で聞いた結果が次のグラフ。トップは「単独で立地している大型書店」。例えば丸善やジュンク堂、紀伊国屋書店などが好例だ。半数近くの42.6%は「雑誌を単独の大型書店で買う」と答えている。

↑ 普段どこで雑誌を買うか(複数回答可)(雑誌購入者限定)
↑ 普段どこで雑誌を買うか(複数回答可)(雑誌購入者限定)

次いで多いのは、デパートやスーパーなどに併設されている大規模書店。買い物がてらに雑誌を買うというパターンだろう。このパターンは他の項目と比べて珍しく、前回調査から増加を見せている。

第三位はコンビニ。コンビニと雑誌の関係は以前【コンビニの出版物販売額(後編:全体編)】などで触れた通り。コンビニにとっては集客アイテムとして価値あるものだったが、昨今ではその立ち位置を弱めつつあるのが実情。今データを見る限り、コンビニでの購入頻度は変わっていないので、購入冊数が減ったのかもしれない(もっともこれは「購入者」に対する比率なので、購入者の全体数自身は減っているから、コンビニの購入者「数」も必然的に減っていることになる)。

順位としては第四位だが、大きな伸びを見せるのが「オンライン書店」。アマゾンや楽天ブックス、bk1といったオンライン書店は、一部は総合ショップへと変貌を遂げつつ、規模を拡大し続けている。昨今まで繰り広げられた「送料無料合戦」の結果、一定条件を満たせば送料が無料になる店も星の数ほどとなり、「その場ですぐに手に入らない」「内容を確認できない」「送料がかかる」という三大ネット書店のデメリットのうち、一つはほぼ解消されたことになる。すぐに読みたいニーズの強い雑誌では、店舗購入ほど手軽ですぐに手に入らないオンライン書店は、実在の書店購入と比べてまだ一歩も二歩も引いた状態だが、確実にその間合いは狭まりつつある。

デパートの大手本屋元資料によれば詳細データは公開されていないものの、「男性30-40代はコンビニ購入が最多」「女性30-40代は大型スーパーやショッピングモール、デパートなどで営業している大規模書店が最多」とある。両者ともそれぞれの階層が普段の買い物に利用する場所であり、雑誌も「ついで買い」で買われていることが確認できる。

インターネット上での購入も「この本が欲しい」と突然思い立つのでは無く、記事などで紹介されていて「そうか、もう発売日か」「いいな、これ」という動機付けの上で購入されるパターンが多いことを考えると、「ついで買い」の機会をいかに、しかも低いハードルにして設け、渡らせるかが、雑誌販促のポイントとなるかもしれない。



ここからはやや余興。前回(2008年7月)・今回(2011年7月)での雑誌購入率は全体比でそれぞれ59.7%・49.7%。購入冊数は考慮せず、1冊でも買ったか・買わないかで判断しているが、今回のグラフとかけ合わせる事で、「購入者内の比率」ではなく、「調査母体全体比率」における、雑誌購入場所比率が算出できる。

例えばコンビニが20%なら、購入者も非購入者も合わせて100人のうち20人が雑誌を(普段は)コンビニで買っている計算になる。来客状況をイメージするにはこちらの方が良いので、概算値ではあるが算出しておく。

↑ 普段どこで雑誌を買うか(複数回答可)(全体比、概算)
↑ 普段どこで雑誌を買うか(複数回答可)(全体比、概算)

横ばいのように見えたコンビニも、実数値としては減少、単独立地の大型書店もかなり厳しい状態にあるのが分かる。今数字はあくまでも調査母体内の来客数が推測できる概算だが、増加しているのはオンライン書店と古本屋くらいなもの。あとは苦戦に立たされているのが、改めて理解できるというものだ。




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