食品の産地厳選・雨に当たることは避ける…医師自らの放射線リスクへの対処法
2011/07/31 19:30
QLifeは2011年7月27日、関東1都6県における医師に対する「医師は 『地域の放射能の健康影響』をどう考え、一個人として行動しているか?」という題目の調査の結果を発表した。それによると調査母体の医師において、被ばくリスクを考慮して自分自身でしていることの上位には、「食品購入時の産地選択」がついていることが分かった。特に野菜・乳製品の双方で5割近い値を示している。他に「雨に当たることはなるべく避ける」が4割を超えていた。一方で食品そのものの調理法・摂取方法への心掛けは1割強でしかなく、「手にする時点でシャットアウト」の意向を持っている事がうかがえる(【発表リリース】)。
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今調査は2011年7月12日から19日にかけて、関東1都6県の医師に対してインターネット経由で行われたもので、有効回答数は342人。居住地比率は茨城5.6%・栃木5.6%・群馬4.7%・埼玉9.4%・千葉9.9%・東京49.1%・神奈川15.8%。男女比は85.7%対14.3%。
今調査では医師による周囲の状況判断、家族への指示、自分自身の行為、患者の動向などについて尋ねているが、今回スポットライトを当てるのは「医師自身の行為」。医師自身による被ばく(被曝、放射線にさらされること)対策として注意している事柄を複数回答で聞いたのが次のグラフ。
↑ 被ばく可能性を考えて自分でしていることは(複数回答)
上位三項目はすべて食品周り。調査期間時期にはすでに食牛系でも問題が発生していたが、事前準備が間に合わなかったようで、肉類は項目には無い。しかし仮に項目が用意されていれば、同レベルの回答率が得られるのは容易に想像がつく。
三食品の中でも特に野菜・魚介類が高く、乳製品はやや落ちる。しかしそれでも4-5割近い医師が「産地を注視して食品を選ぶ」と回答している。やや比率は落ちるが「雨に当たることはなるべく避ける」が第四位についており、日常生活で直接接する可能性が高い要件に対し、慎重な姿勢を見せている事が分かる。
一方水道水についても食品と同じく体内に摂取する類のものではあるが、こちらは25.1%と比率は低め。水道水においては早い段階で各自治体から検査結果を発表する体制が整っており、状況の把握がしやすいのが値を下げた要因だと思われる。
また冒頭でも触れているが、食品の購入時には多くの医師が慎重な姿勢を見せる一方で、「放射性物質を減ずる調理法や体外排出を促す食品の摂取をなるべく心がける」については13.2%しか配慮する回答が得られていない。調査母体の男女構成比を考えると「自分では料理をしないから」という可能性も考えられるが、少々意外な結果ではある。購入時に選択しているから問題ない、といった考え方なのだろう。
今記事もあわせて発表資料からいくつか記事を書き起こす予定だが、各項目のデータや具体的な回答事例に目を通すと、マスコミ周りの弊害は【職場や学校の混乱の押しつけ・マスコミの扇動……医療機関が感じる新型インフル患者の特徴】で触れた新型インフルエンザの事例と類似するところが多く、政府機関の対応(情報開示や適切な指示の有無)は一連の口蹄疫問題(事件)と類するところが多い。
一方で放射線量の測定やガイガーカウンター周りは、前例となるような事例を見出せなかった。新型インフルや花粉症が近いかもしれないが、以前は知名度すらほとんど無かった精密機械を素人が一斉に使いだし、精度の低い値が情報として拡散され、それが人々の不安をさらにあおった例は記憶にない。さらに同様の所業を、世間一般に権威があると見なされる肩書を持つ人物や、一部政党、大手企業の上層部までもがアジテーションのごとく騒ぎ立てたのは、前代未聞といえる。
何度となく触れていることではあるが、くれぐれも妄言に惑わされることなく、「正しく恐れて」欲しいものだ。
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【放射性セシウムを減らす調理法と「チェルノブイリ・放射能と栄養」】
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