震災後に減った支出項目、トップは外食費…ではなくて
2011/07/29 06:41
ノルド社会環境研究所は2011年7月21日、東日本大地震発生後4か月ほどが経過した状況下における、生活者の意識・行動変化に関する調査結果を発表した。それによると調査母体においては、震災後に支出を減らした項目としてトップに挙がったものは「電気代」だった。4割強の人が減ったと答えている。次いで外食費、水道光熱費、自動車のガソリン代と続いており、エネルギー消費の観点で大きな支出減少が起きているのが見て取れる(【発表リリース、PDF】)。
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今調査は2011年7月1日から5日にかけて全国の20-60代の男女に対してインターネット経由で行われたもので、有効回答数は1000人。男女比・年齢階層比(10歳区切り)で均等割り当て。
震災後の各種生活関連調査からも明らかなように、無駄の切り詰めや保守的思考など、人々の思考様式は少なからぬ変化をとげつつある(【ニュースチェック、防災用品整備、家族との打ち合わせ…震災後に変化した防災意識】)。今調査でも「生活の無駄の見直し」「エネルギーの節約」「家族・周囲との関係を大切」「安全重視のモノ選び・行動」など、保守的・安全重視な行動様式への変移を確認できる数字が出ている。
今回スポットライトを当てる項目は、東日本大地震・震災前より支出が減ったものについて。複数回答で尋ねているが、トップにはこの類の設問ではお馴染みの「外食費」ではなく、「電気代」がついている。
↑ 東日本大地震前より支出が減ったもの(=減らしたもの)(複数回答)
電気料金の単価は上昇傾向にあるが、それ以上に節電絡みで消費が減っており、結果として電気料が相当減っていることが分かる。実際にどれほどの額が減っているかまで把握している人は多くないだろうが、多数の人が「電気の使用量をかなり減らしているから、電気料もそれなりに減っているな」という認識を持っていると理解できる。
第二位の外食費は「意図的な贅沢」の意味合いが強く、通常の「節約、支出減少」の調査では最上位に来るものだが、今件では「電気代」に次ぐ値に留まっている。そして第三位に「電気代以外の水道光熱費」、第四位に「自動車のガソリン代」と、エネルギー周りへの節約志向が強い状況が明確に確認できる。
リリースでは「低燃費な生活志向が顕著」という仮説を打ち出している。現実問題として生活レベル(特に食生活)を維持するためには、減らした電気量をカバーするため、ガス代を増やすような状況は十分ありうる(電子レンジの使用をひかえ、ガスでの煮込みや蒸かしを多用するのが一例)。
にも拘わらず、ガスや水道などの光熱費まで減少項目上位に挙がっているところを見ると、電気代の節約に引っ張られる形で、生活様式の中でも「エネルギーそのものの利用に十分以上に慎重になる」姿勢・考えが育ちつつあるのかもしれない。
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