将来に希望が持てない6割超…ワーキングプア層の現状認識とは(生活編)

2011/07/29 06:48

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失望連合(日本労働組合総連合会)は2011年7月22日、ワーキングプア(年収200万円以下の正社員・正社員並みの働きをしている人、あるいはその世帯)に関する調査結果を発表した。今調査では多角的方面から、現在の生活についての実態や実感が聞き出されており、該当層の心境を推し量ることができる。今件はその中から、生活様式に関する話を取り上げることにする(【発表リリース、PDF】)。



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今調査は2011年6月28日から7月8日にかけて、携帯電話を利用したインターネット経由で行われたもので、有効回答数は1000人。個人年収が200万円以下で、家計の1割以上を負担している20-59歳の男女を対象としている。調査母体の平均勤務日数は週4.8日、平均労働時間は7.0時間/実働日。調査実施機関はネットエイジア。なお総務省の最新データによれば年収200万円未満の携帯電話保有率は53.7%(全体平均では73.6%)で、該当年収層のカバー率も同程度であることを認識した上でデータを読む必要がある。

今回スポットライトを当てるのは、生活に関する項目。各項目に対し、「非常にあてはまる」「ある程度当てはまる」「あまり当てはまらない」「まったく当てはまらない」「分からない」のうちいずれか一つを選んでもらった結果が次のグラフ。

↑ 現在の生活についての実態や実感(生活に関する項目)
↑ 現在の生活についての実態や実感(生活に関する項目)

上記四項目の赤系統色の面積の多さ、つまり項目要件に対する肯定意見の多さが目立つが、項目内容はいずれも状態的にはネガティブなもの。上三つは金銭関連で、約8割が「収入アップは無理」・約7割が「貯蓄は無理」とした上で、約8割が「世の中やはりお金」と答えており、否定的な心理状態にあることを示唆するものとなっている。

それゆえに、四つ目の「自分の将来に希望が持てない」とする意見が7割近くで肯定されてしまっているのも、納得は行く。一方で「世の中お金じゃない」とする意見は3割足らずでしかなく、上記の「やはりお金」とほぼ相反する形となっているのが分かる。

幸いなのは「消費者金融への返済が厳しい」とする意見。これは2割足らずに留まっている。しかし逆にいえば、ワーキングプア層で2割近い人が消費者金融への返済の厳しさを実感しており、それなり以上の、返済し難い借り受けがあることを容易に想像させる。

他方気になるのは「生活が苦しくて(今後)ホームレスになるかも」とする回答。一番下の「自分の収入のみで家計を支えている層」は244人、全体の24.4%だが、他に収入が無い人ほどリスクを実感していることが分かる。

低所得ゆえにお金周りの状況の厳しい現実を実感し、そしてそこから抜け出ることの難しさを認識している。いわばこの絶望感に近い状態を解消していくことが、ワーキングプア層を含めた、経済全体の活力を底上げするカギの一つになるかもしれない。



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