ワーキングプア層が我慢していること、外食・衣料品、それよりも……
2011/07/25 06:50
連合(日本労働組合総連合会)は2011年7月22日、ワーキングプア(年収200万円以下の正社員・正社員並みの働きをしている人、あるいはその世帯)に関する調査結果を発表した。それによるとワーキングプア層から構成される調査母体においては、現在の生活でもっとも我慢・節約しているものは「レジャー・旅行」であることが分かった。次いで「外食」「衣料品」「家電」が続いている。男女別では女性の方が節約・我慢をしている意識が強く、高い回答率が出ている(【発表リリース、PDF】)。
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今調査は2011年6月28日から7月8日にかけて、携帯電話を利用したインターネット経由で行われたもので、有効回答数は1000人。個人年収が200万円以下で、家計の1割以上を負担している20-59歳の男女を対象としている。調査母体の平均勤務日数は週4.8日、平均労働時間は7.0時間/実働日。調査実施機関はネットエイジア。なお総務省の最新データによれば年収200万円未満の携帯電話保有率は53.7%(全体平均では73.6%)で、該当年収層のカバー率も同程度であることを認識した上でデータを読む必要がある。
調査母体に対し、現在の生活で我慢や節約しているものを複数回答で聞いたところ、最上位には「レジャー(旅行含む)」が付いた。全体で54.7%と、過半数の人が我慢・節約を自認している。
↑ 現在の生活で我慢や節約しているもの(複数回答)(上位15位まで)
具体的な金額ではなく回答者の自意識における「我慢・節約」なので、あくまでも意識しているか否かを超えたものではないが、「レジャー(旅行含む)」や「外食」「衣料品」「オシャレ着」「化粧品・美容用品」など、外周り、あるいはそれに関連する用品・サービスに対し、金銭面でのセーブを優先しているのが分かる。言い換えれば「そこまで回す余裕は無い」ということ。もっとも通常の節約関連の調査でも、レジャーや外食は上位の常連であり、順位上に大きな違いは無い。
これを男女別に見ると、男性よりも女性の方が「我慢している」との回答率が高く、女性の我慢・節約意識が強い状況がうかがえる。
↑ 現在の生活で我慢や節約しているもの(複数回答)(上位15位まで)(男女別)
また、「オシャレ着」や「化粧品・美容用品」「アクセサリ」などは女性の我慢度が大きくてもすぐに理解できる。「レジャー・旅行」でも女性の値は男性より大きく、全般的に女性は外向きの項目で我慢を重ねていることが分かる。
一方男性は「自動車」をのぞけば「家電」「書籍・漫画・雑誌」など、内向きの項目で我慢・節約の意識が強いが、女性ほど突出したものではない。男性が際立って大きいのは、今グラフでは反映されていないが、下位回答の「お酒」「ギャンブル」くらいである。
一つ気になるのは、第14位「通院(診察・医療)」・第15位「生命保険・医療保険」が共に2割程度存在していること。【生命保険加入世帯の年間保険料推移】などでも触れているが、前世紀末あたりから保険加入率・保険加入額共に減少する傾向を見せている。「加入額」は保険内容の適正化が浸透したと考えれば良いのが、加入率の低下は「万一」のことを考えると不安でならない。同時に今件結果は、【生命保険非加入理由、トップは?】で挙げたように、非加入の最大理由が「経済的余裕が無い」であることを補完させる結果といえよう。
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