約半数は「全件届け出」…万引き被害と当事者を捕まえた時の届け出状況
2011/07/26 06:59
愛知県警は2011年6月21日に同県警ウェブサイト上で、同県内における万引きにおける調査結果を発表した。万引き被疑者自身と、万引き被害者(販売店管理者など)を対象とした調査結果で、愛知県警管轄内の事象に限定されているものの、サンプル数も多いことから、以前【4人に3人は「お金持ってるけど、でも」… 万引きした人の所持金と心理的背景】などで解説した警視庁発表の報告書と同じく有意義で価値ある内容といえる。今回は被害者(販売店・管理人など)からの調査結果内容のうち、万引き行為に対する届け出の有無について確認してみることにしよう(【該当リリース、PDF】)。
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調査対象母集団の内訳については【4割強は「交友関係ほとんどナシ」…万引き被疑者のプロフィール】にて記した通り。詳細はそちらでチェックしてほしい。
「万引き」という表現が用いられているものの、実情は物品の盗難・窃盗でしかない。棚卸など各種チェックではじめてその事実が確認できたり(数が合わない、付録付きの書籍で付録のみが無くなっているなど)、該当行為を確認したものの、当事者を捕縛し損ねるなど、(該当行為者による)被害が確認できたか否かを問わず、万引き全体に対する所轄警察への届け出姿勢を答えてもらったのが次の図。
↑ 万引き被害の届け出状況
もっとも多い回答は「1-2割の案件について警察に届けている」で42%。次いで「全件届けている」が19%。店主別に見ると、単価が高い、あるいは該当行為の発生度が高い店種で、届け出率が高いように見える。
これを「該当行為者」を捕まえた時に限定すると、対応が一変する。割合の色配分は上のグラフと同じだが、「全件」を意味する緑色の面積が何倍にも増えているのが分かる。
↑ 万引き犯を捕まえた時の届け出状況
単価の高い家電量販店、値引き競争が激化しているドラッグストアの7割前後を筆頭に、「全件届け出」とする意見が軒並み過半数に達している。特にドラッグストアは「全件届け出」が「被害全体」では1割しか居ないのに、「捕まえた時」は67%に達しているところを見ると、「該当行為者が確認できない被害の割合が、相当率に達する」のではないかという推測すらできてしまう。
逆にコンビニ、書店、百貨店の届け出率が低めなのも目立つ。コンビニと書店は対応に時間と人員を割きにくい(複数による対応が前提と考えると、その場にいる店員全員で当たらねばならない可能性も出てくる)と考えれば納得は行く。実際別項目の回答では、特に書店において「時間がかかる」「代替店員がいない」との理由で、行為該当を捕まえても警察に届け出ないとする意見が多い。
時間が無い、マンパワー不足などで届け出をしない(出来ない)という事例は、店舗側の事情を考えれば仕方ないかもしれない。しかし再犯性や本人の自覚などの点を考慮すれば、極力通報を行い「してはいけないことをしてしまった」という事実(の重さ)を本人やその関係者にしっかりと認識してもらうためにも、届け出をするのが望ましいといえよう。
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