万引きのソフト面対策、「掛け声」「情報共有」は6割が実施
2011/07/25 06:48
2011年6月21日に愛知県警は同県内における「万引き」行為における調査結果を発表した。万引き被疑者自身、そして万引き被害者(販売店管理者など)を対象とした調査の結果で、愛知県警管轄内の事象に限定されているがサンプル数も多く、チェックを行う価値がある内容となっている。今回はこの資料の中から、被害者(販売店・管理人など)からの調査結果内容のうち、ソフト面での防犯対策についてチェックを入れることにする(【該当リリース、PDF】)。
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調査対象母集団の内訳については【4割強は「交友関係ほとんどナシ」…万引き被疑者のプロフィール】にて記した通り。詳しくはそちらで確認してほしい。
行為対象となりうる店舗でも、何も対策を打たずにあぐらをかいているわけではなく、ソフト・ハード面でさまざまな手を打っている。【店選択も時間も「理由なし」が最多…万引きの場所と時間の選択事情】にもあるように、お店の防犯対策が行為を留まらせる効果はさほど大きくはないものの、ゼロでは無い。また、万一店舗側が被害を受けた場合、行為者を特定するのにも役立つ。つまり「発生そのものの防止(抑止効果)」と「発生した場合の行為者捕縛・特定材料(事実確認効果)」が期待できる。
↑ 犯行店舗の選択理由(再録)
防犯カメラの設置や商品タグのシステム導入はハード面からの対応だが、今回取り上げるのは警備員の巡回や掛け声の啓蒙など、ソフト面からの対応の実働率についてである。具体的に7項目、そして「特段無し」と「その他」を合わせ9項目について問い合わせているが、それらを二つに分けてグラフ化したのが次の図。
↑ ソフト面防犯対策(複数回答)その1
↑ ソフト面防犯対策(複数回答)その2
全体的に多いのは「掛け声の教養(各店員などへの実行周知)」「犯人情報の共有(過去事例の提供によるパターンの確認や「常習犯」の認識)」。それぞれ6割強を占めている。【「店員の声かけ」が一番、だが…万引き断念となり得る事象】にもあるが、直接店内のお客に声をかけるのは状況的に難しいものの、コンビニや古本店舗で店員が値引き商品・キャンペーン内容を大きな声で(個別のお客に語りかけるように)繰り返し語る行為もまた、この「掛け声の教養」によるところと考えてよい。
一方、店舗ごとの事情も透けて見える。例えば「警備員の巡回」は家電量販店、コンビニ、書店では非常に少ない。これは店舗面積やお客の滞在時間(警備員の服装をした警備員以外に、いわゆるお客の格好をした警備員もいる)、店舗の雰囲気・景観を考えれば、仕方の無い話といえる。
防犯カメラのようなハード同様、今件で挙げたソフト面でも、マンパワーと予算を必要とする(「店員だからタダでやってるのと同じ」という考えは、人件費を無視したものでしかない)。各店にはそれだけ負担となり、利益を圧迫しうる。そのような動きが結局お客一人ひとりに対するサービスの低下をもたらしたり、店舗そのものの撤退・閉店で地域全体の便益が失われる。少数の我がままが多くの無垢な人達への迷惑となることを、今一度考えてほしいものだ。
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