万引き犯の1/3「過去に万引きをして見つからなかった経験がある」
2011/07/20 06:26
愛知県警は2011年6月21日、同県内での「万引き」行為に関する調査結果を発表したが、これは万引き被疑者自身のみならず、万引き被害者(販売店管理者など)をも対象としたもので、以前に【4人に3人は「お金持ってるけど、でも」… 万引きした人の所持金と心理的背景】などで解説した警視庁発表の万引き関連の報告書と同じく有意義なものとして、チェックを行う価値がある内容となっている。今回はその中から、被疑者(万引き実行者)の犯行に関する再犯性・常習性についてグラフ化を行うことにした(【該当リリース、PDF】)。
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調査対象母集団の内訳に関しては【4割強は「交友関係ほとんどナシ」…万引き被疑者のプロフィール】にて記した通りなので、そちらを参考にすること。
「万引き」とは本来窃盗、状況によっては強盗の罪にすら問われることもある犯罪行為だが、それより重要度が軽いように誤解されがちな表現である。行為実行者も、それを見つけて捕まえた小売店側も、その言葉の「軽さ」に誤解を受けやすい。
今調査該当項目は被疑者(すでに該当行為をしてみつかり、警察に通報されて取り調べを受けている者)に対して行われたもののため、「これまで(以前に)」万引きをしたが(店員などに)見つからなかった経験があるか否かを聞いたところ、全体では約1/3、少年に限れば4割強が「ある」と答えた。
↑ 万引きをして見つからなかった経験があるか否か
以前【店選択も時間も「理由なし」が最多…万引きの場所と時間の選択事情】などでも触れているように、少年の方が計画性が高く、時間帯や場所の吟味をしている場合が多い。
↑ 犯行計画性(再録)
それゆえに、少年の方が「見つからずに取得してしまった」結果が出てしまっているのかもしれない。
一方、小売店の店員や警備員に見つかって別室に連れて行かれ、色々と事情を聞かれた上で、「まだ小さいのだし」「額が小さいし」「反省しているし」「はじめてだから」などの理由で許され、警察に通報されなかったという事例もある。このパターンは子供から大人まで大体2割に達しているが、やや子供の方が多いようだ。
↑ 万引きをして(つかまったが)警察に通報されなかったことがあるか否か
しかしながら犯罪行為は往々にして常習性、反復性を持つもので、最初のグラフにあるように「見つからずに済んだ」、あるいは「見つかっても警察沙汰にならなかった」場合、そこで素直に反省して気持ちを改める場合もあれば、「見つからなければ、見つかっても許してもらえれば、警察沙汰にならずに済む」と”学習”してしまう場合もある。また、仮に該当行為で「お縄」になっても、常習性から同じことを繰り返してしまう場合もある。
最後のグラフはその「常習性」について。被疑者である回答者に、これまでの犯歴を聞いたものだが、今回捕まった該当行為が初犯である人が全体では7割強、少年では8割強に達している。一方で成人はほぼ2/3。大人の方が再犯性が高いことになる。
↑ 犯歴
犯歴持ちには複数回の可能性もあるため一概に区切るわけにはいかないが、少なくとも大人の「該当行為を実行して被疑者となった者」の1/4は、以前に同様の行為を行い、警察に通報・処分を受けていることになる。少年は成人と比べれば少なめだが、それでも1割は同じ過ちを繰り返している計算になる。
グラフ化などは略するが、初犯行為に対する処分への感想として、「意外と軽い」「何とも思わない」が合わせて56.1%となり、「厳しく受け止め後悔した」の41.2%より多いという結果が出ている。処罰の厳重化のみが犯罪行為そのもののストッパーになるとは限らないが、その役目を果たしていない場合が多い以上、何らかの対策は求められよう。
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