子供の万引き、3割近くは「捕まらないと思ってた」…万引き犯の倫理意識

2011/07/19 06:35

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お縄愛知県警は2011年6月21日、同県内でのいわゆる「万引き」に関する調査結果を発表した。万引き被疑者自身、そしてさらには万引き被害者(販売店管理者など)を対象とした調査結果で、愛知県警管轄内の事象に限定されてはいるが、以前【4人に3人は「お金持ってるけど、でも」… 万引きした人の所持金と心理的背景】などで分析記事を掲載した、警視庁発の報告書と同じく有意義、そして最新のデータが盛り込まれたものとして注目すべき内容といえる。今回はその中から、被疑者(万引き実行者)の犯行に対する規範意識(社会倫理感などを守ろうとする気持ち)や捕まった後の気持ちについてグラフ化を行うことにした(【該当リリース、PDF】)。



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調査対象母集団の内訳は、先日掲載した【4割強は「交友関係ほとんどナシ」…万引き被疑者のプロフィール】にて記した通りなので、そちらを参考にしてほしい。

まずは「規範意識」……という表現ではやや難しいが、要は「万引き行為そのもの(&捕まった)ことについて、社会的にどのような状況なのか、成りえるのかと思っているか」ということ。複数の想いか錯綜しているはずだか、選択肢の中からもっとも重いものを選んでもらった結果が次のグラフ。全体では「何も考えていない」が最多回答で41.8%。次いで「厳しく処罰される」が28.0%となった。

↑ 規範意識(社会上の倫理観などを守ろうとする意志)(択一)
↑ 規範意識(社会上の倫理観などを守ろうとする意志)(択一)

「何も考えていない」はどの世代でも同じ位の割合で4割前後。深い社会倫理的意志は無いということか。一方で自分のしてしまったことへの後悔や現状認識からか「厳しく処罰される」という回答が、大人では3割に達している。

ところが少年の場合、「厳しく処罰される」は2割強でしかなく、代わりにに「捕まらない(と思っていた)」が3割近くを占めている。該当行為に対するお店側の対応などを甘く見ている節が見受けられる。一方高齢者はある程度ふところに余裕があるからか「(捕まっても)弁償で済む」とする回答が15.0%と世代間ではもっとも多く、これもまた罪の意識の軽さの裏付けともいえる。

それでは捕まって色々と事情を聞かれている今の気持ちは、いかなるものだろうか。全体では「運が悪かった」「いつかは捕まると思っていた」「捕まってよかった」の回答がほぼ同率の結果となっている。

↑ 今の気持ち
↑ 今の気持ち

こちらもやはり少年の、該当行為に対する罪の意識の軽さを反映した「運が悪かった」とする回答率が4割近くを占め、他の世代間に比べて大きめなのが目立つ。

今回はグラフ作成・解析を略するが、万引きの常習性(これまで該当行為をして捕まらなかったことのある経験)、捕まったが警察に通報されなかった経験共に、少年が高い値を示している。さらに少年区分では中学生と高校生だけで73.9%を占めており、「小学生だからまだ分別も云々」という言い訳はできないことが見て取れる。

あるいは「万引き」という表現そのものが、該当行為の重要性・罪の重さを誤認させてしまっている可能性はある。言葉自身はすでに浸透している以上、使わないわけにはいかないが、極力同時に「窃盗」という言葉も併用し、同じ行為であることを認識させるべきではないだろうか。


■関連記事:
【未成年者と高齢者の万引き推移(2010年分反映版)】



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