アメリカでのタブレット機や電子書籍リーダーの「詳細な」普及状況

2011/07/11 06:56

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タブレット機アメリカの調査機関【Pew Reserch Center】は2011年6月27日、定期調査データの一部を再編集したものを発表した。そのリリースによれば、電子書籍購読専用のデジタル機器、いわゆる「電子書籍リーダー」の普及率は1割を超え、12%に達していたことが分かった。概要はすでに【電子書籍リーダー普及率は1割超…アメリカでのタブレット機や電子書籍リーダーの普及状況】でお伝えした通りだが、同リリースでは幾つかの区分ごとのデータも掲載されている。タブレット機や電子書籍リーダーがどのような層に好まれているのかが推し量れる貴重なもののため、今回はこれをグラフ化してみることにする(【発表ページ】)。



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今調査は2011年4月26日から5月22日において、18歳以上の人に対して電話(固定電話と携帯電話)でRDD形式(Random Digit Dialing、乱数で創り出した番号に電話をかける方法)によって選択された対象に、英語とスペイン語で行われたもので、有効回答数は2277人。固定電話は1522人、携帯電話は755人(うち346人は携帯電話のみの保有)。さらに性別・年齢・教育経歴・人種・使用言語などの各種区分において、アメリカの国勢調査結果に基づいた調整が行われている。

日本では規格が乱立していることや、世界規模では大本命のキンドルが日本国内の書籍向けとしていまだに展開していないこと(【日本語フォントに正式…対応米アマゾンで電子書籍リーダー・キンドルの新型登場。139ドルの廉価版も】にもあるが日本語にはすでに対応済み)もあり、電子書籍の分野はいまだにカオスな状況にある。一方欧米では順調に浸透を続け、既存メディア、特に新聞にとって大きな脅威(あるいは逆に共存相手)となりつつある。

今調査の結果によると、(調査母体全体に対し・以下同)携帯電話の保有率は8割を超える一方、電子書籍リーダーは12%、タブレット機は8%。まだ少数派だが、確実に普及は進んでいる。

↑ 米・電子書籍リーダーとタブレット機普及率推移
↑ 米・電子書籍リーダーとタブレット機普及率推移(再録)

この普及率について、リリースでは様々な区分に細分化し、個々の普及率を算出している。次のグラフはその区分のうち、日本の事例とも比較しやすい項目に限定して抽出し、再構築したものだ。

↑ 米・2011年5月における主要区分別電子書籍リーダー・タブレット機の保有比率(各階層内比率)
↑ 米・2011年5月における主要区分別電子書籍リーダー・タブレット機の保有比率(各階層内比率)

全体的に電子書籍リーダーの方が普及率は上なのは前述の通りだが、例えば年齢階層別では「若年層ではむしろタブレット機の方が上」「歳を重ねるにつれて電子書籍リーダーの方が普及率が高くなる」という動きが確認できる。他にも「高学歴・高収入ほど電子書籍リーダーとタブレット機の普及率に差が開くようになる」などの傾向が見てとれる。また、大卒や年収7.5万ドル以上になると、電子書籍リーダーの普及率が2割を超えている点にも注目したい。

一方、前記事の主題だった「半年で電子書籍リーダーの普及率が2倍に伸びた」という観点から、半年での各層の増減率を計算したのが次のグラフ。

↑ 米における主要区分別電子書籍リーダー・タブレット機の保有比率(各階層内比率)(2010年11月から2011年5月への変移)
↑ 米における主要区分別電子書籍リーダー・タブレット機の保有比率(各階層内比率)(2010年11月から2011年5月への変移)

ごく一部でマイナス値が見られるが、他はほぼプラス。ただしよく見ると、直近データで高い値を示している層(若年層、高学歴、高収入)ほど、伸び率も大きいことが分かる。特に大卒や高収入層における、電子書籍リーダーの伸び方は著しい。また30-49歳における電子書籍リーダー、18-29歳のタブレット機の伸び方も注目に値する。



タブレット機家電やデジタル機器が世間一般に普及する際には、最初にコア層(全般的には30-40代の男性、技術に深い関心を持ち、それなりにお金の余力のある人)が飛びつき、色々と使いこなし、口コミで広まっていくという流れが一般的。電子書籍リーダーやタブレット機もまた、そのスタイルを踏襲した流れを踏んでいるようにみえる。

特に高学歴・高年収層の、中でも電子書籍リーダーの伸びは特筆すべきものであり、今後さらに広範囲へと広がることを予見させるに十分な値といえる。そしてこれらハードの普及は当然ながら、関連する商品(とりわけソフト)市場を活性化させていく。

これから半年後、電子書籍リーダー・タブレット機がどのような動きを見せて行くのか、非常に気になるところだ。



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