電子書籍リーダー普及率は1割超…アメリカでのタブレット機や電子書籍リーダーの普及状況

2011/07/10 12:00

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電子書籍アメリカの調査機関【Pew Reserch Center】は2011年6月27日、定期調査データの一部を再編集したものを発表した。それによると、電子書籍購読専用のデジタル機器、いわゆる「電子書籍リーダー」の普及率は1割を超え、12%に達していたことが分かった。半年前の調査結果6%から、ほぼ2倍の値を示していることになる(【発表ページ】)。



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今調査は2011年4月26日から5月22日において、18歳以上の人に対して電話(固定電話と携帯電話)でRDD形式(Random Digit Dialing、乱数で創り出した番号に電話をかける方法)によって選択された対象に、英語とスペイン語で行われたもので、有効回答数は2277人。固定電話は1522人、携帯電話は755人(うち346人は携帯電話のみの保有)。さらに性別・年齢・教育経歴・人種・使用言語などの各種区分において、アメリカの国勢調査結果に基づいた調整が行われている。

日本では規格が乱立していることや、世界規模では大本命のキンドルが日本国内の書籍向けとしていまだに展開していないこと(【日本語フォントに正式…対応米アマゾンで電子書籍リーダー・キンドルの新型登場。139ドルの廉価版も】にもあるが日本語にはすでに対応済み)もあり、電子書籍の分野はいまだにカオスな状況にある。一方欧米では順調に浸透を続け、既存メディア、特に新聞にとって大きな脅威(あるいは逆に共存相手)となりつつある。

今調査の結果によると、(調査母体全体に対し・以下同)携帯電話の保有率は8割を超える一方、電子書籍リーダーは12%、タブレット機は8%でしかない。他のデジタルアイテムと比べ、普及はまだ始まったばかりと表現できる。

↑ 主要デジタル機器保有率(米2011年5月)
↑ 主要デジタル機器保有率(米2011年5月)

しかし過去の調査結果からの推移を見ると、両者とも確実に保有率を積み増している。特に電子書籍リーダーは(直前調査では調査対象外だったものの)この半年間で普及率を2倍にかさ上げしているのが確認できる。

↑ 米・電子書籍リーダーとタブレット機普及率推移
↑ 米・電子書籍リーダーとタブレット機普及率推移

リリースによれば「2009年4月期の調査で電子書籍リーダーの項目を設けてから、2ケタの値を記録したのは今回が初めて」とある。グラフを見ればそれは一目瞭然なのだが、インターネット利用者などの限られた区分では無く、(調査母体内とはいえ)全体の1割を超えた値が出たというのは、やはり衝撃的だったと想像される。

また、今調査では興味深いデータを提示している。日本でもiPadなどのタブレット機を、電子書籍リーダーと兼ねて使っている人も多いだろう(そもそも国内での展開初期には、そのようなプロモーションも行われている)。同じようなデジタル機器という認識で、保有者とのマッチングが良いせいなのか、電子書籍リーダーとタブレット機の「双方」を所有している人は案外多い。

↑ 電子書籍リーダーとタブレット機保有状況(米2011年5月)
↑ 電子書籍リーダーとタブレット機保有状況(米2011年5月)

全体から見れば両者ともまだ少数派だが、意外に多くの人が両用しているのが分かる。電子書籍リーダーも今や競争激化で値下げ競争も激しくなってきており、それこそ携帯ゲーム機を購入する感覚で買われているのだろう。あるいはモバイル系のギミックに興味関心を持つ人のターゲットとして、お試し感覚で買われている面もあるのかもしれない。



電子書籍日本の場合は前述の通り、電子書籍の規格が乱立していることや、キンドルの展開が行われていないこともあり、電子書籍リーダーが独自で大規模な普及を果たす状況は想定しにくい。むしろパソコン、あるいはスマートフォンやタブレット機を介して読むスタイルが浸透していくことだろう。

本来なら安価で読みやすい電子書籍リーダーが普及した方が、電子書籍そのものの普及促進の後押しにもなのだが。



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