疑似体験で観光が何倍も楽しくなるARアプリ
2011/07/04 07:02
手軽に持ち運びが出来、デジタルカメラ機能を内蔵し、インターネットとのアクセスも容易な携帯情報端末、特に高性能なスマートフォンの普及により、多種多様な形でのAR(Augmented Reality(拡張現実・強化現実))を使ったプロモーションやエンターテインメントアプリが登場するようになった。今回紹介するのもその類の一つ。現時点では予告編的な動画しか配信されていないものの、「なるほど」と思わせる発想が用いられている、観光を何倍にも楽しめる仕組みのアプリである(【Like Cool】)。
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↑ Augmented Reality Cinema。
[公式サイト:Augmented Reality Cinema]が現時点で「間もなく公開」モードなので機能的な詳細は不明。動画から判断する限り、イギリス・ロンドン内の各所に足を運び、該当アプリを入れたiPhoneのカメラ越しに周囲状況を眺めると、その場所(あるいは近しい場所)で展開された、多種多様な映画のワンシーンが映し出されるというものと思われる。
↑ アプリを起動してカメラ越しにかざすと……
↑ その場所を使った、映画の名シーンが映し出される
元々観光名所が多いロンドンだが、同時に色々な映画、テレビドラマの舞台としても使われている。当然観光をしている最中に「ここは何処かで見たような」「この場所、あの映画に登場したナ」と思い返す場所もある。そのような時に、単に「あったような」で終わるのと、このアプリを使って実際にそのシーンを確認し「なるほど、あの映画のあの場面で、この場所が」と確認するのとでは、場所に対する思い入れが随分と違ってくる。動画・写真にあるように、そのシーンと実際の情景をオーバーラップさせる(AR的に見る)ことで、リアリティを疑似体感できる。そしてその映画の宣伝になることは言うまでも無い。
基本的にはiPhoneのGPS機能を使って場所を判定し、適切な映像を選択し、表示しているようだ。しかし中には「カメラ機能で映し出された今の情景」に「映画のワンシーンをかぶせる」場面も確認できる。
↑ カップルの男性がカメラをかまえている情景をアプリで捕えていると、そこに映画のワンシーンとして、男性が自動車と接触するシーンが
この機能の仕組みは現時点では不明。単なるプロモーション上の演出かもしれない。しかしもし実装されたとしたら、大変楽しいアプリとなるに違いない。何しろ著名映画に「自分が入り込んだ映像」を視聴でき、それを記録に納められるのかもしれないのだから(観光地で良く見かける「書き割り」での記念撮影用のセットの精密版が、アプリで展開される次第)。また、その場面から該当映画の有料動画へのリンクが設定されれば、映画の購入動機をかきたてることにもつながる。
今アプリの仕組みで、今後該当アプリが公開されても利用できるのは、イギリスのロンドンだけに限られる。何しろ地図・地形データとリンクされているのは、ロンドンの中だけなのだから。しかし考え方は大変スマートで、しかも(制作に手間暇はかかるが)容易に応用ができる。
例えば昨今では、アニメーションの制作手法として、実際の地形・情景を巧みに取り入れ、リアリティを増す切り口が良く使われる。そこから転じて、参考にした場所の地域活性化につなげるという展開もある。該当地域は「聖地」とされ、多くのファンが足を運ぶ。熱烈なファンは「実地点の映像」と「アニメ上で登場した同一地点」を交互に映し出す編集を行い、「疑似聖地巡礼」を楽しませる動画を創り出す人までいる。それがこのアプリと同じ手法を用いれば、容易に可能となる(来場者殺到のため中止してしまったが、【来場客殺到で箱根町でのローソンエヴァンゲリオン企画中止】の「ARエヴァンゲリオン出現プロジェクト企画」がまさにそれだ)。
今アプリの完成版の登場が楽しみなのはもちろんだが、(もし今アプリがジョークだったとしても)ARの使い道の新たな切り口のヒントを与えてくれたことでも、高い評価ができよう。
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