ETF購入者の6割は「長期保有・値上がり期待」、投資スタンスも「収益と安全性のバランス」重視
2011/06/25 12:14
iシェアーズは2011年6月22日、ETF(上場投資信託、Exchange Traded Fund)に関する調査結果を発表した。それによるとETFを実際に購入した経験のある調査母体においては、6割強の人が「長期保有で値上がりを期待」してETFに投資していることが分かった。短期売買での利ザヤ稼ぎを目的としている人は2割強に留まっている。また、ETFに限らず資産運用そのものへの方針としては、「収益性と安全性のバランスを配慮」とする回答者がもっとも多く6割強、次いで「利益優先、ハイリスク商品にも手を出す」とする人が3割近くを数えていた(【発表リリース】)。
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今調査はETF購入経験者の20-60代男女を対象にインターネット経由で行われたもので、有効回答数は1000人。男女比・年齢階層比は非公開。調査そのものは2011年3月4日から7日に実施されており、先の東日本大地震に関連する投資マインドの変化の影響は考慮されていない。
ETFとは名前の通り、一般株式市場で公開され他の現物株式と同じように市場売買が可能なETF。一般の投資信託(投信)よりも気軽で、取引手数料も安いことから、購入ハードルの低い投信ともいえる。詳細は東証(東京証券取引所)の公式サイト内に用意されている【ETF・ETNスクエア】を参考にして欲しい。
さて今回の調査母体はETFの購入経験者ということで、投資経験がある人を対象にしている。それらの人に、「なぜETFを買ったのか(投資したのか)」を選択肢の中から一つ選んでもらった結果が次のグラフ。6割の人が「長期保有・値上がり期待」と答えている。
↑ どのような目的でETFに投資しているか
【日米の家計資産推移(2011年1Q分)】などでも示しているように、日本人は概して安定志向が強く、リスクを好まない・長期保有傾向がある。金融資産の保有そのものがすでにリスクを考慮しているわけだが、それでもなお、出来るだけ長期保有による安定投資を求めているようだ。
またETFは現物株式では投資が出来ない、投資しにくい対象(例えば高成長が見込める新興国)への間接的投資も可能なため、それらへの成長を期待して「長期保有による値上がり期待」を望んでいる人も多そうだ。さらにETFは一般的に、値動きが現物株式よりは大人しいことも、短期売買を嫌う人たちが好んで手を出しているのかもしれない。
一方ETFは現物株式と同様に、頻繁な売買も可能。それなりに値動き・取引高のある銘柄を選択すれば、現物株式同様に利ザヤを確保することも不可能ではない。それを一義的に考えている人も2割強に達している。
今調査母体は「投資家(投資経験者)」の中でも「ETF購入経験者」に限定されているが、日本の投資家全般の傾向を推し量ることはできる(何しろ現物株式同様に売買できるのだから)。それが良く分かるのが次のグラフ。
↑ 資産運用に対する考え方としてもっとも当てはまるのは
興味深い事に「長期保有・値上がり期待」と「収益性と安全性のバランス」、「短期的な保有で利ザヤ確保」と「高収益性追求のために高リスク商品にも積極投資」の回答率がほぼ一致している。投資に対するスタンスを視点を変えて表現しただけで、集約すると行きつくところは同じ、と考えれば納得がいく。同様の考え方で「配当期待」=「元本は出来るだけ維持・配当程度の収益があれば良い」=「収益性が低くても元本安全性重視」と考えれば、「配当期待」と「低収益性でも元本安全性重視」の回答率がほぼ同じなのも理解できる。
一般の投資信託の場合には管理手数料が(現物株式と比べて)高く、その手数料を見越した上で収益をあげて行かないと、長期保有を目指しても単に資産が目減りしてしまうだけになりかねない。投資先の選択の幅が広いというメリットは一般投資信託にあるが、初心者には投資先としては、一般の投資信託よりはETFの方が無難といえよう。
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