フランスのテレビ・ラジオでは「Facebook」「Twitter」(という言葉)が使用不可能に
2011/06/06 12:00
日本のテレビでも民放では番組スポンサーを気遣い、あるいはよほど浸透している(=汎用名刺として認知されている)商品でない限り、特定商品名が語られる、映し出されることは無い。半国営放送ともいえるNHKならなおさらで、ある歌手のヒットソングの歌詞が「真っ赤なポルシェ」から「真っ赤な車」に差し替えられたのは、結構有名な逸話。それと似たような話が、先日からフランスで実施されている。フランス国内のテレビやラジオでは、ソーシャルメディアの「Facebook」や「Twitter」という言葉が、それ自身の動向に関するニュースでない限り、使用することができなくなってしまったというものだ(【参照記事】)。
スポンサードリンク
↑ 今件を伝える報道番組。
これはフランスにおいて電子通信網を介して配信される番組(テレビ、ラジオ、そしてインターネット経由の動画も含む)に関する規制権限を行使する独立行政機関CSA(Conseil supe'rieur de l'audiovisuel)が2011年5月27日に【理事会決定として発表した】もの。内容をざっと紹介すると、「番組内でその番組に関連するページなどを設けた特定のソーシャルメディア名を語るのは、その特定ソーシャルメディアに対する宣伝行為に該当するので好ましくない」とするものだ。
例えばあるバラエティ番組で登場人物やあらましを載せたFacebookのフェイスブックページ(ファンページ)を創り、番組の最後に「番組の最新情報はこちらのフェイスブックページへアクセスしてね。URLは……」「番組公式ツイッターアカウントは……です。フォローしてね」と告知するのはアウトになる。フランスでは独自に【Skyrock】などがあるため、それらのサービスに対して不利になるから、という配慮によるもの。いわく「FacebookやTwitterはすでに他サービスに対して大いに有意な立場にある。にもかかわらず、(公的意味合いの強い)テレビやラジオで宣伝をする必要があるのか。他のソーシャルメディアは『なぜ自分達のサービスでないのか?』と不満をもらすに違いない」。
【ZD netの説明・解釈】によれば、代わりの表現として「当番組のソーシャルメディア上でのサイトを見つけて下さい。そこでお会いしましょう」「私たちの(通常の)ウェブページをチェックして下さいね(と、ソーシャルメディアへのリンクを設定したページURLを示す)」などを用いねばならなくなる。シンプルかつ容易にアクセスできることが、ソーシャルメディアへアプローチしてもらうための重要な条件なのにも関わらず、このような措置をとらねばならないのは本末転倒ともいえる。
また同記事では、2003年のイラク戦争の際にフランスとアメリカの関係が悪化した時、アメリカでフライドポテトを意味する「フレンチフライ」(フランス揚げ)の呼び名を止めて「フリーダムフライ」(自由揚げ)と呼ぶ動きがあったことを紹介。それと同じような動きだとした上で、「このような馬鹿げた動きは長く続かないし、多くの人には浸透しない」と説明している。
日本でもゲーム機は「ファミコン」「プレステ」、デジタル携帯音楽プレイヤーは「iPod」、スマートフォンは「iPhone」など主要機種で呼び方が汎用化されることが多い。CSAの意見も一理あるが、現実問題として個別サービス以外に類似サービスも含めた全体的なものを指す使い方も普及しており、今件命令はかなり無理があるような気がしてならない。
あるいは個別サービス名を出さず、単にURLだけを公知すれば良い気もするのだが。例えば「Skyrock」内にも専用ページを創り、同時に掲載する形で。
スポンサードリンク