減らすべき44%・現状維持46%…分かれる原発問題への意見
2011/06/09 07:11


スポンサードリンク
今調査は2011年4月8日から27日にかけて大人(同調査機関他調査から類するに18歳以上)700人に対し、固定電話への日本語でのインタービュー形式によって行われたもの。そして一か月後の同年5月13日から24日の間に、そのうち同一人物の601人に対して再調査が行われている。RDD形式(Random Digit Dialing、乱数で創り出した番号に電話をかける方法)によって電話番号は選択されているが、直接の震災被災地は除外されている。
サンプル数による「ぶれ」はプラスマイナス4.5ポイント。比較対象として挙げられている2010年のデータは、2010年春に同様のスタイルで行われている。また、元々Pew Reserch Centerでは定期的に全世界に向けて調査を行っているが、そのルートを使い今般地震などに関連する形で、日本にスポットライトをあてた調査を実施したのが今件の結果である。
今般震災への対応について、日本国内の公的機関などへの評価は次の通り。自衛隊にはきわめて高い評価が与えられている一方、政府やそのトップである総理への評価は低い。

↑ 地震や津波への対応評価(詳細)(再録)
項目に加えられている東京電力への評価が異様に低いことからも分かるように、政府やそのトップへの評価が低い一因が、福島第一原発への対応といえる。
実際今調査母体でも6割近い人が、福島第一原発を起因とする放射性物質に対するリスクを懸念している。

↑ 福島第一原発を起因とする放射線・放射性物質に自分自身や家族が影響を受けるリスクを心配しているか
【東日本大地震後の不安要素は原発、そして被災地への支援状況】などにもあるが、今件が物理的だけでなく心理的に与える影響が極めて大きいことが再確認できる。そして現行日本政府の対応に対する評価も厳しく、69%が「適切な対応をしていない」と判断している。

↑ 福島第一原発の状況について、日本政府は適切な対応をしているか否か
詳細データは公開されていないが、資料本文を読み解くと、「野党第一党の自由民主党支持者における『適切な対応をしていない』という意見は71%」「自民党・民主党以外の党の支持者における『適切な対応をしていない』という意見は77%」「民主党支持者は適切・非適切それぞれ47%ずつに分かれている」とある。支持政党の行為であれば、甘い評価を下してしまうということなのか、あるいは他に何かこの格差の原因があるのか、資料では分析されていない。
さらに今後の原子力政策についてだが、原発を減らすべきだとする意見が44%・現状維持が46%とほぼ均衡。増やすべきは8%に留まっている。

↑ 日本における原子力発電は今後どうすべきか
こちらも本文中で多少追加説明があり、それによれば「放射線に対するリスクを心配している人は『減らすべき』の意見が46%と、心配していない人の40%より多い」「『減らすべき』の意見は男性34%・女性53%。放射線リスクへの懸念同様、女性の方が高い値」「大卒者は52%・高卒者は40%と、高学歴の方が『減らすべき』が多い」などと言及されている。回答の相関関係や、他調査機関の結果とも連動する形で、きわめて興味深い。

スポンサードリンク
