電力不足による経済の動き、需要よりも供給が縮小との見通し
2011/06/06 06:18
帝国データバンクは2011年6月3日、今夏における企業の活動に関する意識調査結果を発表した。それによると調査母体の企業においては、今夏の電力不足により、需要・供給共に通常電力時と比べて縮小するのではないかと考えている人が多数に及ぶことが分かった。特に供給は需要よりも割合が大きく、7割以上の企業が縮小すると答えている(【発表リリース】)。
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今調査は2011年5月19日-31日にかけて帝国データバンクによってインターネット経由で行われたもので、有効回答企業は1万1111社。
今般東日本大地震とそれに関連する各種災害により、少なくとも今夏は東北・東京・中部電力管轄で電力需給バランスがひっ迫する状況にある。これを受けて例えば経済産業省では【電力需給対策について > 節電 ‐電力消費をおさえるには‐】のページに配されている各種事業体向け資料にあるように、細かく区分した事業体毎に節電方法の指南などを行っている。
電力の使用を絞られることで、生産行動は随分と制限されることになる。企業の多くは節電目標を設定して、それを達成するために様々な施策を掲げ、実施しているが、それらは(影響を最小限に留めるべく努力をしているものの)企業の供給力を低下させてしまう。また消費マインドの低下、購入機会の減退など様々な理由により、需要も減退することは容易に想定できる。
今件調査は主に供給側である企業に尋ねているものだが、今夏の電力不足に伴い、日本経済は需要・供給の面でどのように動くか、その見通しを聞いたところ、需要面では6割超、供給面では7割超が「縮小する」という結果となった。
↑ 日本経済全体の需要と供給の見通し(今夏の電力不足に伴うもの・電力供給通常時と比較して)
あくまでも「見通し」でしかなく、科学的根拠があるわけではないものの、現場で働いている人たちの意見なだけに、説得力はある。少なくともテレビや雑誌を騒がせる、一部の「エセ」が付くようなエコノミスト達の意見と比べれば、信頼性ははるかに高い。
今件結果では特に、需要面よりも供給面、つまり回答者サイドにおける縮小への懸念が数字に出ているのが注目に値する。元資料ではいくつか具体的なコメントも寄せられているが、例えば
「24時間連続操業を必要とするものは、月の稼働日を短縮する以外にない」
「ピークシフトで対応できれば需要と供給への影響は小さいが、絶対的な電力使用量を減らせば需要も供給も縮小する」
など、指摘されれば「確かに当然の話」とする意見が寄せられている(逆に特需的なものを期待する意見や、価値観の変化を求める意見もある)。
いずれにせよ、個別の企業で対応できる部分と、できない部分があることは間違いない。そして後者については、自治体、さらには国レベルでの強力な施策が必要となる。現状ではそれを期待するのは難しいが、それならそれはそれで、状況の変化を待ち望みたいところだ。
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