節電予定企業7割超、最多方法は「温度設定見直し」
2011/06/04 19:30


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今調査は2011年5月19日-31日にかけて帝国データバンクによってインターネット経由で行われたもので、有効回答企業は1万1111社。
すでにご承知の通り今般東日本大地震とそれに関連する各種災害で、直近では今夏において東北・東京・中部電力管轄内では電力不足・電力の需給バランスが崩れる心配がある。経済産業省でも【電力需給対策について > 節電 ‐電力消費をおさえるには‐】のページに配されている各種事業体向け資料にあるように、細かく区分した事業体毎に節電方法の指南などを行っている。
今調査母体の企業においては、この夏で節電を実施する予定の企業は71.4%。分からない企業が19.0%、そして節電をするつもりはない企業が9.6%という結果が出ている。

↑ 今夏の電力不足への対応予定
まず節電する企業の具体的対応策だが、9割以上ほとんどの企業が「空調などの温度設定見直し」をあげている。そしてかなり回答率は下がるが、3割強の企業でLEDなど設備導入での対応という回答となっている。

↑ 節電内容(複数回答、対応予定企業限定)
百歩譲って事務職系の職場ならまだしも、肉体労働系の職場(工場など)における温度設定の見直しは、熱中症をはじめとする健康リスクに直結する可能性がある。一律に作業場内設定温度をプラス1度のような、現場の状況を無視した対応は、くれぐれも慎んでほしいものだ。
また、就業時間のスライドによってピークタイムを考慮したり、自家発電装置を新設・増強するなどの設備投資によって対応する企業も確認できる。
一方、節電をしない企業にその理由を尋ねた結果が次のグラフ。自社地域では電力不足の懸念がないから、とする回答がもっとも多く55.7%に達している。

↑ 節電しない理由(複数回答、非対応予定企業限定)
節電などにより需要よりも供給の縮小が懸念される昨今では、電力不足のない地域の企業はむしろ節電よりも積極的な企業活動を行い、増産に励んで欲しいものだ(「震災による代替需要増加への対応」もこれに該当するか)。他方「節電が不可能」「メリットが無い」など、企業のスタイル的に節電が出来ない企業もある。
気になるのは「努力目標で強制力無し」「操業・営業時間短縮でシェアを奪われるリスク」と回答する企業が少数ながらも存在すること。それだけ現在の立ち位置が切羽詰まっていることを考えれば、このような選択肢が選ばれるのもある意味仕方ないのかもしれない。
やや余談になるが、地域別の「節電実施予定」回答率は次の通りで、地域性が見事に出る結果となっている。

↑ 今夏の電力不足への対応予定(地域別、「節電実施予定」回答率)
今調査は5月中旬以降におけるものなので、中部電力での電力不足懸念も実体化しており、東北・関東以外に東海地域での回答率も高くなっている。そして同じ関東地区でも、北関東よりは春先に計画停電が主に実施された南関東において、とりわけ高い値が出ているのが分かる。
なお特異値として、九州地区の値が63.1%という値が出ている。これは【九州も夏に計画停電の可能性】でも指摘しているように、九州電力管轄でも電力不足懸念が生じているからに他ならない。これから夏にかけて、情勢の変化次第では、さらなる他地域でも同様の動きが見られるかもしれない。
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