震災で強まる節約、減る消費

2011/05/31 12:00

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節約マイボイスコムは2011年5月27日までに、くらしと節約に関するアンケート調査結果を発表した。それによると調査母体においては、今後1年間においてもっとも節約したい対象は「公共料金」であることが分かった。全体の4割を超え、今年1月の調査時と比べ、上位項目では唯一大幅に増加している。逆にお金をかけたい項目では「旅行」がトップについているが、「特にない」とする意見が過半数に達しており、消費性向が落ち込んでいることが確認できる(【発表リリース】)。



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今調査は2011年5月1日から5日にかけてインターネット経由で行われたもので、有効回答数は1万1536人。男女比は47対53、年齢階層比は10代1%・20代11%・30代29%・40代33%・50歳以上26%。

元々昨今の不景気の中で節約志向は押し進まれていたが、先日の東日本大地震により消費性向が大幅に変化を遂げた。それは多くの人が実感しているはず。今調査は5月に実施されているが、同様の調査が今年1月にも行われており、個々の値を比較することで「消費性向の変化」を推し量ることができる。

まずは調査時点での「今後1年間で節約を心がけたいと思うこと」。公共料金、つまり電気代・ガス代・水道料金が群を抜いてトップについている。この類の調査のトップとしてお馴染みの「外食」25.3%を抜き、41.0%にも達している。

↑ 今後1年間で節約を心がけたいと思う事(複数回答、上位20位)
↑ 今後1年間で節約を心がけたいと思う事(複数回答、上位20位)

「公共料金」とひとまとめにされているが、節電が叫ばれている昨今情勢を考えれば、その大部分が「電気料金」であることは容易に想像ができる(資料コメントでは「関東地区では公共料金が他の地域より多い」とあり、それを裏付けている)。それ以外は「外食」が続き、「食料品」「菓子・デザート類」など、食事系のものが上位を占めているのが気になるところ。

さて2011年1月に行われた同様調査と、今回の上位20位項目との差を算出したのが次のグラフ。「自動車維持」の1.0ポイントはイレギュラーのようなものだが、それ以外は見事に「公共料金」が突出しているのが分かる。

↑ 今後1年間で節約を心がけたいと思う事(複数回答、2011年5月時点の上位20位項目について、2011年1月との差異、ポイント)
↑ 今後1年間で節約を心がけたいと思う事(複数回答、2011年5月時点の上位20位項目について、2011年1月との差異、ポイント)

東日本大地震、そして節電が節約マインドに大きな変化をもたらしたことが、あらためて認識できる。

「公共料金、多分に電気を節約する意識が強まったのは分かった。ならば他の項目は逆に消費が活発になるのでは?」という推定も可能となる。しかしそう上手くはいかないようだ。同様に「今後1年間でお金をかけたいと思う事」を2011年5月時点の上位、及び2011年1月との差異について計算したのが次のグラフ。

↑ 今後1年間でお金をかけたいと思う事(複数回答、上位10位)
↑ 今後1年間でお金をかけたいと思う事(複数回答、上位10位)

↑ 今後1年間でお金をかけたいと思う事(複数回答、2011年5月時点の上位10位項目について、2011年1月との差異、ポイント)
↑ 今後1年間でお金をかけたいと思う事(複数回答、2011年5月時点の上位10位項目について、2011年1月との差異、ポイント)

「食料品」「育児・教育」面は増加しているが、それぞれ東日本大地震とその震災による影響であることは容易に理解できる。また「旅行」の値が大きく下がっているが、【震災の不安が人々を保守的に】などでも触れているように、人々の保守的思考の強まりが一因と思われる。さらに「お金をかけたいと思う事が無い」とする意見が4.2ポイントも増加している点を見ると、消費にしり込みしている様子が容易に想像できよう。

毎月報告している「景気ウォッチャー調査」でも、消費性向の減退を懸念する声は強い。単純に「雰囲気的なもの」から、「今後の景気後退をにらんで」まで、理由はさまざまではあるが、「内向き志向」の動きは否定できない。今後の消費動向について、各種小売業の業績と共に、これまで以上に注意深く見守る必要がありそうだ。



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