「こりゃ大変だ」本震後、何を使って連絡取ろうとした?
2011/05/27 19:30
サーベイリサーチセンターは2011年4月7日、東日本大地震に関する「帰宅困難者」関連の環境・判断などを中心とした調査結果を発表した。それによると調査母体では、3月11日の本震発生後、約1/3の人は「固定電話で連絡を取ろうとして果たせた」ことが分かった。一方で3割近くの人は「連絡をしようと試したがつながらなかった」と答えている。また、このような状況下で利用しやすいように用意されていた「災害用伝言ダイヤル」「災害用伝言サービス」は7割以上の人が利用しようとせず、他に2割近くの人は「利用の仕方が分からなかった」と回答しており、今後大いに状況の改善が求められる結果が出ている(発表リリース)。
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今調査は2011年3月25日から28日にかけてインターネット経由で行われたもので、有効回答数は2026人。首都圏(東京・神奈川・埼玉・千葉)在住で、本震発生時に首都圏にいた人を対象としている。年齢階層比は20代・30代・40代・50代・60歳以上で均等割り当て、男女比は1対1、居住地区比は1都3県でほぼ均等割り当て。
今般東日本大地震発生後、自分自身の身の安全を確認した上で、肉親や知人などの安否を確認するため、または逆に自分の安全を報告するため、連絡を取ろうとした人は多いはず。一方で「このような状況下では電話などはつながらないだろう」「自分より緊急度の高い人が多いことを考えれば使用は控えるべきだ」「回線の断絶などでトライするだけ無駄かも」という考えの人も少なからずいたと思われる。今調査母体ではどのような傾向が見られるか、それが次のグラフである。
↑ 本震後に家族や知人等へどのような手段で連絡を取ろうとしたか(それぞれの項目において全体比)
「ツイッターやSNSなどのソーシャルメディア」が項目に入っていないは残念だが、ともあれもっともオーソドックスな「固定電話」では1/3ほどが「連絡を取ろうと挑戦し、(つながり具合はともかく)実際に利用できた」と回答している。一方28.5%は「使おうとしたがつながりづらく、結局あきらめた」とし、回線の混雑ぶりが表れている。さらに36.8%は「利用しようとしなかった」と答え、このような状況下での固定電話による通話回線の利用が難しい・できれば避けるべきことへの周知・経験則による判断が、ある程度進んでいる状況が見て取れる(正月時の「おめでとうコール」で経験しているのも一因だろう)。
「携帯電話」ではどうだろうか。最終的に「利用できた」人の率はさほど変わりがないものの、「つながりにくい・利用できず」の割合は6割近くに達している。これは「固定電話」よりも多くの人が「つながるかも」とチャレンジし、果たせなかったことを意味している。
しかし同じ「携帯電話」でもメールならば、6割近い人が意志疎通に成功している。チャレンジした人の割合はほぼ同じだが、通話よりも成功率は高い結果が出ている。「パソコン(メール)」では7割近い人が「利用しようとしなかった」のと合わせて考えると、普段からシンプルな意思疎通手段として用いている携帯メールは、緊急時にも同じように高い優先順位で使われ得るということになる。
ただし「利用した人のうち、連絡が取れた人の割合」で考えれば、「パソコン(メール)」の方がはるかに成功率は高い。相手もパソコンメールの受信環境を持っていて、受信できそうな状況にあると判断できれば、パソコンメールを用いた方がよいかもしれない。
気になる動きとしては、冒頭でも触れたように右三つ、災害時の通信環境の混線を避けるために用意されている「災害用伝言ダイヤル」「災害用伝言サービス」がほとんど使われていないこと。
↑ 災害用伝言ダイヤル(171)の利用イメージ。【NTT東日本】から抜粋
「使い方が分からない」が一様に2割近くに達し、「利用しようとしない」が7割強。しかも利用を試みた人の中でも少ながらずの人が「つながりにくい・利用できず」と回答している。存在そのものや利用方法の啓蒙は当然だが、いざという時の安定度の確保も今後の課題といえよう。
やや余談になるが、「携帯電話(通話)」を男女・世代別に区分してグラフ化したのが次の図。
↑ 本震後に家族や知人等へどのような手段で連絡を取ろうとしたか(携帯電話・通話/性別・世代別)
男女で差異はほとんど無いが、わずかながら女性の方が通話成功率が高い。回答項目ではその記述は無いが、挑戦した回数が多かったのかもしれない(通信可能か否かという環境は男女で変わりは無い)。
一方世代別では、歳を経るほど「利用しようとしない」「つながりにくい・利用できた」の割合が減る。これもまた男女の差異同様、むしろそれ以上に、「すぐにあきらめた」か「何度となく試してみた」かの違いといえる。この「あきらめ度合い」は、普段利用している度合いとも密接にかかわっていると考えられ、興味深い傾向ともいえよう。
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