東日本大地震発生直後、もっとも役に立ったのは「NHKテレビ」
2011/05/23 07:21
サーベイリサーチセンターは2011年4月7日、東日本大地震に関する「帰宅困難者」関連の環境・判断などを中心とした調査結果を発表した。それによると調査母体においては、本震の発生直後に知りたかった情報について、その情報を取得する上でもっとも役に立ったと判断されたのは「NHKテレビ」であることが分かった。回答者の過半数の人が役立ったと答えている(発表リリース)。
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今調査は2011年3月25日から28日にかけてインターネット経由で行われたもので、有効回答数は2026人。首都圏(東京・神奈川・埼玉・千葉)在住で、本震発生時に首都圏にいた人を対象としている。年齢階層比は20代・30代・40代・50代・60歳以上で均等割り当て、男女比は1対1、居住地区比は1都3県でほぼ均等割り当て。
2011年3月11日に発生した東日本大地震の本震直後、居た場所を問わず、知りたかった情報を複数回答で答えてもらったところ、一番多くの人が同意を示した項目は「震源地や規模」。次いで「家族の安否や居所」だった。
↑ 本震直後に知りたかった情報(主なもの、複数回答)
公共放送で知り得るもの、公共放送から類推できるもの、当事者に確認しないと分からないものなど多種多様に及ぶ。まずは「事態・状況の把握」、そして「大切な人の動向」という順番は、何も今件だけに限らず、何か突発性の出来事が発生した時共通の認識である。
それではそれら「本震直後に知りたかった情報」を得るために、どのようなツールが役に立っただろうか。あくまでも「本震直後」であり、数日経過した以降ではないことに留意してほしいが、トップには「NHKテレビ」がついた。全項目中唯一過半数の人が「役立った」と答えている。
↑ 本震直後に知りたかった情報を知るために、役に立ったものは(複数回答)
本震発生後の各メディアの動向と、それに対する受け手側の認識変化は【地震情報で見直される「ラジオ」、評価を受ける「ソーシャルメディア」、そして……】などで解説しているが、本震直後の時点でも「NHKテレビ」の、そして(利用普及率などを考慮すれば)高い「ラジオ」の有意性が確認できる。また、「民放テレビ」は第二位ではあるものの、すぐ次に「ウェブサイト」が入っており、「NHKテレビ」との違いが見える。
これを男女別にみると、特に女性で特異な動きが確認できる。
↑ 本震直後に知りたかった情報を知るために、役に立ったものは(複数回答)(男女別)
テレビの利用率はさほど変わりはないが、携帯周りのツール・手段は女性の方が押し並べて高い。ただし「ワンセグ機能」に限れば男性の方が高めで、女性が携帯電話のワンセグ機能を普段からさほど使っていないようすがうかがえる。
また、世代別に見ると、世代毎の情報ツールの利用頻度、頼り方の違いがそのまますける形でグラフが形成されるのが分かる。
↑ 本震直後に知りたかった情報を知るために、役に立ったものは(複数回答)(年齢階層別)
オレンジ色の矢印で示した部分、つまりインターネットや携帯電話などデジタルメディア系のツールは若年層ほど高めの値を示している。一方で「NHKテレビ」を筆頭に「ラジオ」などは高齢者ほど値が高い。【「新聞って信頼できるよね」「正確だよね」はそれぞれ6割、ただし若者と高齢者の間には大きなギャップも】で示した、世代間におけるメディアへの信用性格差、というよりは差異が、有事にもそのまま反映された形といえる。
今件は本震から一か月足らずの時点で行った、本震直後の情報取得に関する調査である(本筋は「帰宅困難者」周りの話で、情報取得ツール云々は副次的なレベルでしか無い)。しかしながらこの時点ですでに、「NHKテレビ」と「民放テレビ」の間に大きな差異が確認できるのは興味深い。
本震後の取材状況とそれに対する視聴者の反応を見る限り、現時点で同じような調査、あるいは単に「役立つメディア」として聞いた場合、似たような結果、あるいはさらなる差異が開いている可能性も否定できまい。恐らくはサーベイリサーチセンター自身、そうでなくとも他の調査機関が行うであろう、その類の調査結果発表を待ちたいところではある。
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