別の場所3割、今の場所5割強…被災者が願う今後の居住場所
2011/05/18 07:12
サーベイリサーチセンターが2011年4月28日に発表した【東日本大地震に関する宮城県沿岸部における被災地アンケートの調査結果】には、東日本大地震に関連して地震防災、特に津波対策の点で非常に貴重なデータが多数盛り込まれている。今回はその中から、今後の居住をどのように考えているかについて見て行くことにする。
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今調査は2011年4月15日から17日にかけて、宮城県沿岸部(8市町18避難所)(南三陸町、女川町、石巻市、多賀城市、仙台市若林区、名取市、亘理町、山元町)を対象に、避難所に避難中の20歳以上の男女に対し、質問紙を用いた調査員による個別面接調査法で行われたもので、有効回答数は451人分。
今調査母体では「今一番必要な情報」として、仮設住宅の入居時期が最上位に挙がっており、多くの人が避難所暮らしではなく、何らかの形で自らの居住空間を欲していることが分かる。
↑ 現時点で必要な情報(複数回答)(再録)
それでは具体的に、どのような場所・環境での居住を希望しているのか。幾つかの選択肢の中から一つを選んでもらったのが次のグラフだが、やはり「(今まで住んでいた場所では無く)別の安全な地域に移り住みたい」とする回答が「単独項目では」もっとも多く3割近くに達していた。
↑ 今後の居住について(択一)
当然といえばそれまでだが、リスクを回避したいという気持ちが設実に現れている。もっともそれと比べて10ポイントほど低い値ではあるもののの、「元の場所で」津波対策をして再建したいとし、今まで住んでいた場所を離れたくないとする意見も多い。次点の回答「高所に移転したい」もほぼ同数だが、別選択肢に「別の安全な地域-」があることから、これまでの「居住地の近辺で」が「高所」の付随条件であると考えて良さそうだ。
さらにその次の「高い防波堤・防潮堤を建設してもらい、元の場所に元と同じような住宅を再建したい」「近くに高層住宅を建てて-」も合わせると、半数強は元の場所、あるいはその近場に再び住みたいと考えていることになる。
行政側への期待度を別にすれば、今後の希望居住地については、半数強が「元の場所、あるいはその近場」、3割が「別の場所」、2割近くが「分からない、その他」という結果となる。一方で【アトラクターズ・ラボ、被災地域の人口や世帯など住居関係データの分析結果を公開】でも触れているように、今般東日本大地震での被災地域は全国平均と比べて高齢者が多く、改めて住宅を自ら建てるのは困難が伴う(ローンが降りない、降りても二重ローンの負担が重すぎる)。資金繰り周りの臨時ルールの適用なり、行政機関による大規模な集合住宅の建設と提供なり、手法は色々と想定しうるが、早急かつ抜本的な対策が求められていることは言うまでも無い。
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