2/3は「仮設住宅の入居時期」…避難所で求められている情報とは
2011/05/17 06:52
サーベイリサーチセンターが2011年4月28日に発表した【東日本大地震に関する宮城県沿岸部における被災地アンケートの調査結果】には、東日本大地震に関連して地震防災、特に津波対策の点で非常に貴重なデータが多数盛り込まれている。今回はその中から、地震発生後の情報源として役立ったもの、そして回答時点で必要な情報について見て行くことにする。
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今調査は2011年4月15日から17日にかけて、宮城県沿岸部(8市町18避難所)(南三陸町、女川町、石巻市、多賀城市、仙台市若林区、名取市、亘理町、山元町)を対象に、避難所に避難中の20歳以上の男女に対し、質問紙を用いた調査員による個別面接調査法で行われたもので、有効回答数は451人分。
【地震情報で見直される「ラジオ」、評価を受ける「ソーシャルメディア」、そして……】などにもあるように、今般東日本大地震ではその機動力や配信情報の適切性かつ有益性から、ラジオが大きく見直されることになった。今件調査結果は主に避難所での情報源という解釈になるが、「最も役だった情報源」として半数以上の人がラジオを挙げている。
↑ 地震発生後の情報源(最も役に立ったもの)
電波によって送られてくること、ほぼリアルタイムで公的情報も取得できること、そして何よりも平時のインフラが稼働していることが確認できる点で大いに安心感を与えてくれる。単純に役立つ情報が得られるだけでなく、そのインフラそのものが活きており、それを確認させてくれるという点でも有益なはずだ。
第二位は新聞。12.6%しかないが、受信機が無いと使えないラジオと比べ、新聞は配布されれば誰でも情報源として使える、受動的な情報源としてはトップといえる。【東日本大地震を巡る2紙の話・石巻日日新聞と東海新報】で語られていたセリフ「地元が大変な時に出せねんだら、地域紙に存在価値なんかねぇんだぞ」が再認識できる。
「携帯電話」や「ツイッターやSNS」は少数派。ただし今件はあくまでも「最も」なものを挙げてもらっているため、ラジオや新聞があれば、そちらを優先するのは当然の話。被災地という特殊事情により取得手段が得にくいこともあるが、まったく役に立たなかったというわけではあるまい。
一方、欲しい、必要な情報となると事情が少々変わってくる。
↑ 現時点で必要な情報(複数回答)
他の回答から群を抜いて多いのは「仮設住宅の入居時期」。実に2/3の人が「自分が仮設住宅に入居する、せざるを得ない」ことを認識した上で、それがいつになるかの情報を切望している。見方を変えれば、仮設住宅関連がもっとも望まれている事柄といえる。
その他「復興支援の具体的な内容」「生活に必要な身の回りの情報」「各被災地の復旧・復興状況」がそれぞれ3割を超えており、自分の現状とこれからの動向を見極めるのに欠かせない、そして基本的な情報を切望しているのが分かる。これもまた、逆に考えればそれらの情報が不足している、十分に伝達されていないことを意味する。
今般東日本大地震では地方自治体の組織そのものが大きな被害を受けたため、地域に密着したサポートが難しい状態にある。新聞は伝えられるサイクルや情報量に限界があるし、ラジオは広域を対象とした情報がメインのため、一人ひとりの身近な、地域レベルでの情報は取得しにくい。本来それらを補い得る地域情報を伝達する機関(地方自治体)の立ち上げ・復興で、情報の空洞化を避けることが求められよう。
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