津波被災者・一か月経過した時点でもなお、一番欲しい情報は「家族や知人の安否」
2011/05/16 07:16
サーベイリサーチセンターが2011年4月28日に発表した【東日本大地震に関する宮城県沿岸部における被災地アンケートの調査結果】には、東日本大地震に関連して地震防災、特に津波対策の点で非常に貴重なデータが多数盛り込まれている。今回はその中から、回答者が「地震発生後に欲しかった情報」について焦点を当てることにする。
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今調査は2011年4月15日から17日にかけて、宮城県沿岸部(8市町18避難所)(南三陸町、女川町、石巻市、多賀城市、仙台市若林区、名取市、亘理町、山元町)を対象に、避難所に避難中の20歳以上の男女に対し、質問紙を用いた調査員による個別面接調査法で行われたもので、有効回答数は451人分。
日常生活時と違い、避難をしている状態では情報取得手段も限られてくるし、運よく手段を入手・利用できたとしても、有益な情報が流れてくるとは限らない。また、他の人には役立つ話かもしれないが、自分にとっては優先順位が低い情報であることもありえる。
そのような各種事例も含め、回答者が地震発生後(=回答している時点、つまり避難所において)欲しかった情報を複数回答で尋ねた結果が次のグラフ。
↑ 地震発生後に欲しかった情報(複数回答)
家族や知人の安否が分からず、その情報を知りたい人が2/3もいる。本震・津波発生から一か月経った時点という調査期間を考慮すると、今回地震・震災の規模の大きさ、そして被害発生後の対応状況が異常事態であることの再認識ができる。
次いで多いのは「地震や津波の被害状況」。そして現在の生活を支える「水・食料や生活物資」。そしてようやく「今後の余震の可能性や規模の見通し」「水道・ガス・電気・電話の復旧見通し」という、今後の生活に関する意見が出てくる。現状ではもう少し状況も改善しているはずだが、当時は「今この場が精いっぱい」であることがすけて見える結果ともいえよう。
情報提供側、特に公的機関や該当者にリーチが出来る伝達手段を持つ団体は、「正しい情報」であることを前提とした上で(つまりそれは同時に、その情報を提供できるよう、事態を可及的速やかに進めるニーズであることをも意味する)、これらの需要に応えるべく努力をしてほしいものだ。欲しい情報の不足は不安を駆り立て、それは精神的なストレスとして一人ひとりに重くのしかかってくるのだから。
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