津波避難で重要なのは「早く避難」「正しい判断」そして「事前の情報取得」

2011/05/11 05:20

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選択サーベイリサーチセンターが2011年4月28日に発表した【東日本大地震に関する宮城県沿岸部における被災地アンケートの調査結果】には、東日本大地震に関連して地震防災、特に津波対策の点で非常に貴重なデータが多数盛り込まれている。今回はその中から回答者の体験による、津波から助かった要因や重要だと感じた行動に焦点を当てることにする。



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今調査は2011年4月15日から17日にかけて、宮城県沿岸部(8市町18避難所)(南三陸町、女川町、石巻市、多賀城市、仙台市若林区、名取市、亘理町、山元町)を対象に、避難所に避難中の20歳以上の男女に対し、質問紙を用いた調査員による個別面接調査法で行われたもので、有効回答数は451人分。

まずは回答者が「津波から助かった要因」について、選択肢の中から該当するものを複数回答で選んでもらった結果がこちら。回答率の並びがばらばらだが、回答項目で類似項目を並べてあるのでこのような形となっている。また【宮城県での大津波警報認知度は56%、そのうち3/4は「すぐ避難を」と判断】でも触れているが、今調査は助かった人のみが回答対象。それだけに今調査項目は非常に重みのあるものとなっている。

↑ 津波から助かった要因(複数回答)
↑ 津波から助かった要因(複数回答)

最大の値を示したものは「自分や家族の咄嗟(とっさ)の判断が良かった」。もちろんこれは野生の感云々というよりは、日頃の情報収集や訓練、そしてパニックに陥らない冷静さなど複数要因により、適切な判断を下した結果といえる。次いでほぼ同数なのが「早く避難した」。【津波からの避難は警報や揺れの大きさがきっかけ。でも逃げ始めるタイミングは……】にもあるが、避難開始のタイミングは「本震直後」と「本震から30分以上」がボリュームゾーンとなっており、どこまでが本人にとって「早く」に該当するのかが、やや疑問なところがある。

渋滞また、特徴的なのが「車で避難した」が2割を超えていること。避難所が近所に無く、一刻の猶予を争う状況下では、もっとも短時間で到達できる移動手段となると自動車以外の手は無い。一方で震災時の資料映像を見る限り、避難途中で渋滞に巻き込まれてしまう自動車の様子も複数確認できており、自動車を使うべきか否かについては、事前の調査であらかじめ判断をしておかねばならないといえよう。

ともあれ上位は「早く避難する」「正しい判断をする」の2点。これがそのまま次の「重要だと感じた行動」にも表れている。

↑ 重要だと感じた行動(複数回答)
↑ 重要だと感じた行動(複数回答)

トップは「地震が発生したらすぐに避難する」で「早く避難する」に直結する。第二位は「津波に対して避難する場所や方向をよく知っておく」で、これを習得していれば「正しい判断」を下すことができる。この2つが両項目で最上位についている点を見ると、当記事題名にある通り、「早く避難」「正しい判断」そしてそれらを行うための「事前の情報取得」が重要であると認識できる。そしてこれは津波に限ったことでは無く、多くの自然災害に共通する原則であることは言うまでも無い。



やや余談になるが二つ目のグラフの第四位「離れている家族などが心配でも、各自が急いで高所に避難する」に留意してほしい。後ほど機会を改めて触れることにするが、これは[「釜石の子供たちが教えてくれた」津波の備え 各自治体も注目(産経新聞)]にもある通り、三陸地方の言い伝え「津波てんでんこ」に該当する。要は「津波が来たら、家族バラバラでもとにかく逃げろ」を意味するのだが、伝承が活かされた一例といえよう。



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