高齢者は夕食前からずっと見ている…男女別・年齢階層別で異なる平日夜間のテレビ視聴スタイル(最新)
2021/06/07 05:02
魅力の大きさと利用ハードルの低さから、つい長時間にわたって視聴してしまうのがテレビ(番組)。日常生活で多分な時間を消費するため、日々の生活様式との関係も浅からぬものとなる。テレビ視聴の度合いは男女別・年齢階層別でいかなる違いを見せるのだろうか。今回はNHK放送文化研究所か2021年5月21日に発表した2020年国民生活時間調査の報告書をベースに、平日におけるテレビ視聴動向を確認し、人々の日常生活の一端をかいま見ることにする(【発表リリース:「2020年 国民生活時間調査」結果概要】)。
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今調査の調査要項は先行記事【大きく減ったテレビを見る人、しかし高齢者は相変わらずほとんどの人が見ている(最新)】を参照のこと。また「行為者」とは指定された行動を実際に成した人のこと、「行為者率」は指定された時間に該当行動を15分以上した人が、属性対象人数に対しどれほどいたのか、その割合を意味する。
今件における「テレビ視聴」は「テレビに専念して見入る」だけでなく「他の事柄をしながらのながら視聴」も含んでいる。そしてテレビ視聴そのものはテレビ器材(据置型テレビだけでなく、ワンセグによる視聴も組む。録画視聴や購入・レンタルソフトの視聴は除く)を用い、放送されている番組を見ること、実質的に回答者が「テレビを見ている」と自認できる行動である。
なお厳密に解釈すれば、たとえテレビで番組が放映されている状態で点けっぱなしになっていても、回答当事者が別の行為をしており注力のあまり「テレビを見ている」との認識が無い場合、客観的には「ながら視聴」に該当するようなケースでも、今件のテレビ(番組)の行為者にはならない。
さて、テレビがどのような時間帯に視聴されているかを「行為者率の推移」で見ると、三食の食事の時間帯、そして夕食後の団らん時に高い値を示しているのが確認できる。
↑ テレビの30分毎の平均行為者率(平日、記載は終了時刻)(2020年)(再録)
朝食と昼食の間、昼食と夕食の間の時間帯は、学生や就業者はテレビを視聴できないこともあり、値は低いままにとどまっている。一方夕食後は自宅で自由時間となる場合が多く、学生・就業者もテレビを視聴する機会が生まれ、結果として高い行為者率を示すようになる。
それではこの夕食前後の時間帯におけるテレビ視聴の傾向は、男女・年齢階層別に差異が見られるのだろうか。平日の夜、19時以降深夜0時半までの動向を確認したのが次のグラフ。
↑ 夜間のテレビの平均行為者率(平日、男性、年齢階層別)(2020年)
↑ 夜間のテレビの平均行為者率(平日、女性、年齢階層別)(2020年)
18時半以降20時までは50代以降の値が高い。40代までは低め。10代は男性こそ19時30分まではやや高め、女性は20時30分がピークとなるがおおよそ年齢階層別では押しなべて低めで、テレビをあまり見ていない実情がうかがえる。ピークの早さや値の落ち込み方の傾向は高齢層と似ており、就寝時間の早さ、あるいは宿題をする・自分の自由時間に費やすようすが確認できる。高齢者もピークの早さやそれ以降の値の落ち方は10代と似ているが、元々の値が高いため、男性は21時、女性は22時ぐらいまでは、他の年齢階層よりは高い値を維持する。
男女ともに21時以降になると大きな変化が見えてくる。女性はタイミングがやや遅めだが、この時間帯になると50代以降の高齢者の視聴率はグンと減少し、床に向かうのがうかがえる。他方で中年層はあまり値が下がらず、むしろ50代では男性は21時30分、女性でも21時がピークを迎えることになる。
高齢者では男性よりも女性の方が遅くまでテレビを見ている、10代は男性の方が早くテレビから離れる傾向がある、ピークのタイミングは未成年者と高齢層が似た動きを示すなど、他にも興味深い動きが多数確認できる。しかしなによりも、平日の22時前後でテレビのメインとなる視聴層が高齢層から中年層へと入れ替わる動きは、大いに注目すべき点といえる。平日の夜における番組構成・番組表もこの視点で見ると、新たな発見を得られるかもしれない。
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