【更新】節電と経済、自粛すべき・すべきでない理由
2011/05/07 19:30
クロス・マーケティングは2011年4月15日、東日本大地震発生後の企業・公共団体の活動自粛に関する調査結果を発表した。それによると調査母体においては、本震発生以降の各種行動への自粛に賛成する理由として、「節電のため」が最多同意率を示していることが分かった。一方で自粛に反対する理由としては「経済の早期回復のため」「経済が停滞するので好ましくない」など、経済への懸念が上位についている([発表リリース])。
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今調査は2011年4月8日から11日にかけて全国の15歳以上他の男女に対しインターネット経由で行われたもので、有効回答数は16万7162人。男女比は86835対80327、年齢階層比は10代2187人・20代18897人・30代52458人・40代53646人・50代27269人・60歳以上12705人。
東日本大地震の本震以降の自粛意識については、民間よりも公的なイベントに対するものの方が強い。そして時間の経過ととも漸次減少していく。
↑ 自粛した方が良いと思う活動・本震発生からの期間別(公共団体のイベント)(再録)
↑ 自粛した方が良いと思う活動・本震発生からの期間別(企業のCMや新商品発表、上位3位)(再録)
それではそれら自粛意識は、どのような理由から生じているのか。自粛した方が良いと思う理由を、調査母体全体から複数回答で聞いた結果が次のグラフ。最多回答項目は「節電のため」で5割近くに達していた。
↑ 自粛した方が良いと思う理由(複数回答)
東日本大地震による震災では、福島第一原発をはじめとする各種発電所への被害を起因とする、電気の供給力不足が大きな特徴となっている。他の自然災害(特に地震)では電力周りでの懸念はほとんど無く、今調査で第二位に位置する「まずは復旧・復興に力を注ぐべき」の回答がトップに来ていたはず。いかに電力問題が自粛意識に大きな影響を与えているかが分かる。
一方、「自粛しない方が良い」とする理由では、経済周りへの懸念が高い値を示している。
↑ 自粛しない方がよいと思う理由(複数回答)
「早く普通の生活に戻した方が良い」は精神的な安定・安寧を求める面が多分にあるが、それ以外の上位項目も経済に関連するところが少なからず見受けられる。復旧・復興の後押しとなり活動力となる「経済」そのものが停滞しては、結局被災した地域・人にもマイナスになってしまう。そのような考え方からの結論といえる。
特に今般東日本大地震において、自粛する・しないの論争が紛糾しやすいのは、この双方の理由が原因と考えられる。「節電」(電力)と「経済」(お金)そのものは、互いに切っても切れない関係にある。さらに【地震後の 今後の不安は 「景気」と「電力」】でも触れているが、余震などの直接・物理的な不安が減退した後の不安要素であり、心の負担となっているのが、この両者「経済」と「電力」にあるからだ。
↑ 今後の不安や心配(「非常に感じる」率の高い順)(再録)
自粛支持・不支持双方の最多理由が両方とも、今現在抱えている大きな不安・心配を起因としている。これでは自粛する、しないで意見がした場合、お互いの妥協を求めるのは難しい。同時に電気というインフラの安定感がいかに(心理的な安定感を得るという観点でも)重要かを、改めて思い知らされる結果といえよう。
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