【更新】女性が高め、高齢者は長め…本震後の自粛意識傾向

2011/05/04 19:30

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高齢者クロス・マーケティングは2011年4月15日、東日本大地震発生後の企業・公共団体の活動自粛に関する調査結果を発表した。それによると調査母体においては、本震発生以降の自粛意識について、男性よりも女性の方が強い傾向を示していることが分かった。時間の経過と共に男女間の差異は縮小していく。また世代間の差としては、発生直後は30代の自粛意識が高いものの、高齢者、特に60歳以降において長時間継続する動きが確認できる([発表リリース])。



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今調査は2011年4月8日から11日にかけて全国の15歳以上他の男女に対しインターネット経由で行われたもので、有効回答数は16万7162人。男女比は86835対80327、年齢階層比は10代2187人・20代18897人・30代52458人・40代53646人・50代27269人・60歳以上12705人。

今調査では公共団体のイベントと、民間企業のCMや新商品発表の二つに区分した上で、東日本大地震本震からの期間区切りで「自粛すべきか否か」を尋ねている。

↑ 自粛した方が良いと思う活動・本震発生からの期間別(公共団体のイベント)
↑ 自粛した方が良いと思う活動・本震発生からの期間別(公共団体のイベント)(再録)

今件ではそれらの項目のうち一つでも「自粛すべき」と考えているものがあった場合、その人を「自粛支持者」、その人たちの該当区分母体全体に占める比率を「自粛支持率」と呼んでいる。自粛支持率は本震直後から2週間未満では3/4近くに達するが、1か月近くになると6割、3か月を過ぎると4割近くに減少する。

それではこの「自粛支持率」、男女間で差異があるのだろうか。集計してみるといずれの時期においても、女性の方が自粛意識が強いことが分かった。

↑ 自粛支持率(選択肢として挙げられた行動の自粛に一つでも賛同した人)
↑ 自粛支持率(選択肢として挙げられた行動の自粛に一つでも賛同した人)

単に女性の方が高いだけでなく、時間の経過と共に男女の差異が縮まる傾向が確認できる。【震災後の不安要素、最上位は「福島原発」】【東日本大地震後の不安要素は原発、そして被災地への支援状況】など複数の調査機関の結果から、少なくとも東日本大地震においては(そして恐らくは自然災害全般において)男性よりも女性の方が不安を強く覚えいるのが分かる。そしてそれとつながる形で、女性の方が自粛・自制意識も強くなること、その解消には時間を置かねばならないという一連の動きが見えてくる。

他方世代別では興味深い動きが生じている。

↑ 自粛支持率(世代別)(選択肢として挙げられた行動の自粛に一つでも賛同した人)
↑ 自粛支持率(世代別)(選択肢として挙げられた行動の自粛に一つでも賛同した人)

本震発生直後においては30代の自粛意識がもっとも高く、60歳以上との間に約6ポイントほどの開きがある。しかし自粛意識の時間経過による減少率は歳を経るほど小さく、「2週間後-1か月未満」の区分では早くも順位が逆転しているのが分かる。「1か月-3か月未満」になると、60歳以上は5割近い値をキープしているのに対し、10代は1/3強(2週間未満の半数)にまで減退している。高齢者の方が自粛に対する意識が継続するということだ。



女性の方が不安感を覚える率と共に自粛意識が高いのは、ひとえに「生」に対する意識が強いからと考えるのが道理。男性と違い子供を産む能力を有する女性の「本能」ともいえる。一方で高齢者の自粛意識が長続きするのは、物事を深く考える姿勢が出来ているからか、あるいは人生経験が豊富なゆえに、自粛心にもつながる「配慮」への気持ちも大きく育っているからだろう。

いずれにせよ、「自粛」は相手への思いやりを多分に含んだ行為だが、それがかえって負担になってしまう場合もある。また関連企業をはじめ、さまざまな方面で経済活動が縮小・停止してしまい、経済の停滞を招きかねないという懸念も存在する。小噺ではないが、自粛を自粛するという考え方もありなのかもしれない。



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