【更新】地震後の 今後の不安は 「景気」と「電力」

2011/04/29 19:30

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不安リサーチ・アンド・ディベロプメントは2011年4月25日、東日本大地震の本震一か月後における、首都圏での生活・意識に関する調査結果を発表した。それによると調査母体では「本震一か月後に景気の悪化で生活が苦しくなること」「電力不足で不便な生活を強いられること」そして「大規模な地震の再発」の3点において、多くの人が不安・心配を抱えていることが分かった。特に景気の悪化に対しては、4割以上の人が強い不安を感じている([発表リリース、pdf])。



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今調査は2011年4月8日から11日にかけて首都圏40キロ圏内に住む18-74歳の男女に対して、インターネット経由で行われたもの。有効回答数は3088人。また2010年10月20日から11月1日にも同様の調査が行われており、こちらの有効回答数は4260人。両者とも国勢調査の人口構成比にあわせてウェイトバックを実施している。また、2010年10月の調査回答者に対し、2011年4月の調査が依頼されている。

【東日本大地震後の不安要素は原発、そして被災地への支援状況】【震災後の不安要素、最上位は「福島原発」】にもあるように、東日本大地震の後には多くの人がさまざまな不安を抱えている。それでは本震から一か月経過した今調査時点では、どのような事に対する不安があるのだろうか。

↑ 今後の不安や心配(「非常に感じる」率の高い順)
↑ 今後の不安や心配(「非常に感じる」率の高い順)

今回提起された要件の中では、「景気が悪化し、不況で生活が苦しくなるかもしれない」という不安や心配を抱く人が一番多く、心配の強度を別にすれば9割の人が不安に思っている。第二位の「電力不足で不便な生活を強いられるかもしれない」や第三位の「地震が再発して自分や家族が被害にあうかもしれない」も単なる不安という点ならほぼ同じで、不安の強度の違いがあるに過ぎない。

興味深いのは、地震の再来による物理的・直接的な被害への不安より、地震によって生じた影響による、今後の日常生活に与える深い傷跡への心配が大きいこと。人々の心理が「地震(再来)への臨戦体制」から「地震による被害の修復体制」に移行したという受け止め方もできるし、受けた影響の大きさによるプレッシャーがあまりにも大きいとする見方もできる。いずれにせよ、余震への不安ばかりを覚えていた本震直後とは、心理的状況に変化が生じていることには違いない。

また、人がどのような不安を抱こうが抱くまいが、地震が再び起きる確率に変化はない。しかし将来への生活の苦しさを懸念する人が多いほど、社会全体は保守的となり、消費性向がセーブされる傾向になる。いわば「防御姿勢」に移行するというわけだ。【震災の不安が人々を保守的に】や今調査別項目でもその傾向が確認できる。

↑ 回答時点での「今後の景気動向予想」
↑ 回答時点での「今後の景気動向予想」

↑ 回答時点での「日本の国際社会でのあるべき立ち位置」
↑ 回答時点での「日本の国際社会でのあるべき立ち位置」

地震・震災による直接的な被害・損失の状況(電力供給不足や原発事故問題など)が継続している現状では望むべくもないが、例えそれらが鎮静化、修復改善の見通しが立ったとしても、人々の心理状態に与えた影響は余りにも大き過ぎる。震災前の状況に回復するとしても、少なからぬ月日が必要になることは間違いない。あるいはこの変化すら受け止める形で、中長期的な社会の流れが構成されていくのかもしれない。

リサーチ・アンド・ディベロプメントなどでは今後も定期的に調査を実施し、生活者の動向をレポートしていくとのこと。注意深く動向を見守りたいところだ。



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