東日本大地震後、デマや流言のようなメールを受けとった人は2割強

2011/04/25 07:09

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デマサーベイリサーチセンターは2011年4月13日、東日本大地震に関連した心理・行動に関する調査結果を発表した。それによると調査母体のうち、デマ・流言のたぐいのメールを本震後に受け取った経験を持つ人は2割強に達していることが分かった。「節電をして被災者を助けよう」という内容のものがもっとも多く、次いで石油精製工場の爆発に絡む内容が1割強を占めている(発表リリース)。



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今調査は2011年3月25日から3月31日にかけてインターネット経由で北海道、東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、静岡県、愛知県、大阪府、広島県、福岡県に在住する20歳以上の男女に対しインターネット経由で行われたもので、有効回答数は2000人。男女比、年齢階層比(20代・30代・40代・50代・60歳以上)、該当都道府県比で均等割り当て。

今般地震・震災のような大きな被害をもたらす災害が発生すると、人はその被害そのものや今後の動向に大きな不確定要素を感じるようになり、心理的に不安定な状態に陥る。

↑ 地震の後に不安な事(複数回答)
↑ 地震の後に不安な事(複数回答)(再録)

その不安定感を助長するのが、流言やデマの類。不確定要素の多い、あるいは事実と反するこれらの情報は、半ば憶測、その不安感自身から、そして半ば意図的・面白がって流布されるパターンが多い。昨今では口頭による伝聞ではなく、電子メールや掲示板などのデジタルメディアでそれらの内容が伝達されるため、情報の拡散や収束もこれまでの社会情勢下には無かった高速性を持つ傾向がある。

それでは今般の東日本大地震で、次のような内容をメールを受け取った経験はあるだろうか。それぞれについて答えてもらったところ、いずれも受信した経験はないとする人が72.5%に達していた。逆にいえば、3割近くはこれらの内容のうちいずれかのメールを受け取り、目を通したことになる。

↑ 本震発生後、次の内容のメールを受信したことはあるか
↑ 本震発生後、次の内容のメールを受信したことはあるか

一番多かったのは「節電をして被災者を助けよう」。この考えが俗に言う「過度の自粛ムード」の遠因の一つにもなるのだが、電力供給源の被害で供給力に問題が生じているのは東京・東北電力管轄区域であり、その他の地域では節電をしても(基本的に)意味が無い。むしろ経済を抑制してしまう点ではマイナスともいえる。ところがこのメールは(後述するが)、その該当区域外で受信されているケースが多い。

第二位として挙げられているのが、「石油製油工場の爆発で有害物質がまき散らされているので気を付けろ」。これは具体的には【丸善石油化学、新聞用インキ原材料DIB(ジイソブチレン)の生産工場復旧に「最低でも1年間は必要」】で触れた事故のことを指す。見た目が派手なこと、石油化学工場であったことから、よく調べもしないままでこのような話が流されたものと思われる。

また「イソジンを飲むと良い」という流言も相当問題視されたようで、【「うがい薬などのヨウ素を含む一般市販薬」を飲んではダメ・「効果がある」は誤情報】にもあるように本震から4日後には、飲用を固く禁じる公知が行われている。

今件設問に挙げられたメールの内容について、上記節電や石油化学工場の有害物質、イソジンの件はともかく、すべての選択肢が100%流言・デマとは言い切れないこと、さらにいわゆる「ジャーナリスト」「専門家」と呼ばれてきた人たちや各界著名人、そして報道自身(のごく一部)が意図的に「デマ」「流言」の類を流しているあたりを見ると、色々と問題は複雑な感はある。

回答された都道府県別にデータを区分すると次のようなグラフになる。数字をすべて盛り込むと煩雑になるため、目立つものだけ数字などを入れている。

↑ 本震発生後、次の内容のメールを受信したことはあるか(都道府県別)
↑ 本震発生後、次の内容のメールを受信したことはあるか(都道府県別)

石油精製工場の話は現場の千葉県がもっとも多く、1/3強に達している。また原発の情報周りの話では1割未満だが、神奈川県が最多回答率を示している。これは浜岡原発と東海地震の絡みで不安を持つ人が多いからだろう。そして「節電で被災者を助ける」云々の話は、上記で解説したように、電力供給に問題が生じている場所「以外」での受信が高いことが確認できる。

今回対象となった項目では、特にイソジン周りの話は直接に、すぐに本人に健康的な悪影響をもたらしかねない危険な話であり、十分に注意しなければならない。一方で流言の対象となり得る側においては、情報を包み隠さず、噂や流言を打ち消せるだけの真実を、明確に、分かりやすく伝える必要がある。状況が不安定化している場において、もっとも大切なのは「適切で正しく、分かりやすい情報」なのだから。



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