「他人に厳しく、自分に甘い」を再確認させて戒めるプロモーション
2011/04/22 06:39
法的に禁止されていることにはじまり、常識的にリスクの高いこと、倫理・道徳的に好ましくないことなど、「してはいけない」ことは世の中に山ほど存在する。しかしその多くにおいて、他人の行為はすぐに目に留まり積極的に止めるものの、自分自身が同じことをすると、つい「ちょっとだけ」「これくらいなら」と妥協し、目をつむってしまう。ダイエットや禁煙が良い例だ。今回紹介するプロモーションは、そのような人間心理、そしてそれら慎むべき行為について「自分自身もしてはいけない」と再確認させるものである(【ADS of the world】)。
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↑ Drunk Valet。
今件はブラジル・サンパウロで展開している飲み屋さんBar AuroraとBoteco ferrazで行われた、社会的実験も兼ねたもの。店舗のボーイさんが来店するお客に対し、次々に「あなたの代わりに駐車場へ自動車を駐車します」と声をかける。お店側としては一刻でも早く、そして面倒な経験をすることなく来店してもらうために用意した粋なサービス、のはず。
ところがこのボーイさん、仕草といい顔つきといい、誰が見ても大いに酔っぱらった状態。声をかけられたお客からも「この人、かなり酔ってるわネ」と分かる。果たしてこのような状態のボーイさんに、何人のお客が駐車をお願いするだろうか。
↑ 足元がふらつき、酔っ払いどころか泥酔状態なボーイさん
結果は当然といえば当然なのだが、ゼロ。すべての人が自動車事故のリスクを恐れ、ボーイさんへの運転代行を断ることになった。
↑ 「あんな酔った人に運転代行なんてさせたくないわヨ」「あんた、私の車に入ったら大声で叫ぶわよ」強烈な拒否反応
そこでそのボーイさんは拒否をしたお客にパーキングチケット(要は実験への協力の謝礼としての、無料駐車券)を差し出す。そこには次のような言葉が書かれており、「なるほど」と納得すると共に、お客たちはハッとさせられる次第。
酔った運転手に自動車を運転させてはいけませんヨ。それがあなた自身でもネ。
(Never let a drunk driver take your car. Even if that driver is you.)
他人の酔っ払いに運転させることを頑ななまでに拒んだのだから、自分自身が酔った状態でも同じでしょ? というわけで、飲酒運転をしないようにと啓蒙しているわけだ。
もちろん実際には、このボーイさんは酔った状態ではないため、かなり上手な演技が求められる。大根役者だとお客に察せられてしまうからだ。少なくとも今実験においては、担当したボーイさんの演技の腕前は一線級だったといえる。
日本風の表現でいえば「ドッキリカメラ」的な面もあるが、自分の直前までの行動で飲酒運転をいかに拒絶しているかが再確認できるため、きわめて効果は高い。もちろん日本でも通用する切り口ではないだろうか。
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