[補足追加]「立ち読み、止めようね」を別の視点から促す広告
2011/04/18 12:10
今では【集英社の「ウェブ立ち読み」、7点・530ページ超追加で計8点へ】やアマゾンでの書籍コーナーのように、販売している書籍の一部分、あるいはダイジェスト版が閲覧できる「インターネット立ち読み」「ウェブ立ち読み」が可能な書籍販売サイトは多い。しかし本物の書店は従来通り、「立ち読み」という行為があまり好ましくないものに違いは無い。全ページを丸ごと読まれてしまうかもしれないし、書籍に汚れや折り目が入るリスクが生じる。そして何よりも、立ち読みされている間はその書籍が他人の手に取られる可能性が無くなり、販売機会を逸してしまうかもしれないのだ。リトアニアの書店(古書が多いようだ)のMint Vinetuは、立ち読みをする人たちに向けて、ちょっと変わったポスターで啓蒙活動を行った。この本屋が放った、直接立ち読みを止めるよう促すのでは無く、自発的に立ち読みを止める効果が期待できる、「立ち読みをしている人」に向けたメッセージとは何だったのだろうか(【ADS of the World】)。
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↑ 表紙に描かれている顔のデザインが立ち読みをしている本人に……
映し出されているのは本を真剣になって読みふせっている女性。立ち姿でいるところから、立ち読みの情景をイメージしているようだ。しかし良く見ると、女性の顔はすっかり本で隠され、その本に描かれた顔のイラストとかぶってしまっている。まるで観光地の記念写真用の穴付き書き割のように、女性の顔がそのまま(表紙デザインの)白ひげの年老いた男性のように見えてしまうのだ。
あまりにも出来過ぎたマッチングに、周囲は吹き出すか、笑いを必死にこらえるか、携帯電話のデジカメ機能で写真を撮りまくるに違いない。知らぬは立ち読みしている本人ばかりなり。ポスターのコピーにも「誰か別の人になってますヨ(Become Someone Else.)」ともある。
もうお分かりだろう。このポスターは「立ち読みに夢中になってるあなた。自分は気がつかないけど、こんな恥をかいているかもしれません」と訴えかけている。そして遠まわしに「立ち読みしている(恥ずかしい)姿は、あなた以外の皆が知っている。だから自分自身が気が付いて思いっきり恥ずかしい想いをする前に、止めましょうね」とうながしているわけだ。
今件ポスターには他にもいくつかのパターンがあるが、いずれも「これ、本当にこんな状態のところを知りあいに見られたら、顔が沸騰するくらいの恥ずかしさを覚えるだろうな」というものばかり。
↑ ガイコツとフランケンシュタイン……
特に上の右側は首の部分までが異様なまでにマッチしていて、気の毒な気分すら沸き上がってくる(同時に笑いも、だが)。いずれにせよ、単純に「立ち読み禁止」と強要されるよりはるかに効果的に、そして自主的に「こうなるよりは、立ち読みしない方がいいな」と思わせてくれる。同時に本屋側のセンスの良さに感心させられることしきり。
この切り口は万国共通のものなので、日本でも十分可能。最近では「立ち読み禁止」の貼り紙はあまり見かけなくなったが、単純に禁止するだけでなく、このような「からめ手」からの手法は大いに効果を上げるかもしれない。
※捕捉:
今件ポスターにつき、「立ち読みをしないように」というよりは「Become Someone Else. Pick your hero at Mint Vinetu」をそのまま読みとり、「それぞれの古書の主人公になりきれるヨ」という解釈もできるのではないかという指摘がありました。それも十分にありだと思いますので、補足説明として書き記しておきます。色々な解釈ができうるのも、広告の楽しいところですネ。
Thanks to 【Chaka@DNA】!
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