アジア圏内で特異な動きを見せる日本のプライベートブランドへの想い

2011/04/08 19:30

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プライベートブランドニールセン・カンパニーは2011年3月30日、プライベートブランド(PB)に関する調査結果を発表した。それによるとアジア圏内では他国と比べて日本のPB商品に対する否定的意向は小さく、複数項目の否定的設問でアジア平均の5-6割程度しか同意が得られていないことが分かった。例えば「品質重視の場合PB商品は適切でない」とする設問では、アジア平均は43%だが、日本はわずか24%しか賛同していないのが確認できる(【発表リリース、PDF】)。



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今調査は2010年9月3日から21日までの間、アジア太平洋、欧州、中南米、中東、アフリカ、北米の世界53か国27000名以上の、15歳以上の一般消費者を対象に実施されたもの。サンプル数はインターネットのユーザーをベースに、各地域の年齢や性別によって割当てられ、インターネットを利用する消費者を代表するように割り付けられている。

プライベートブランドとは、対で話題に取り上げられることの多いナショナルブランド(NB)との比較で説明すると、

・プライベートブランド(PB)……小売店業者やそのグループ、複数の業者による販売組織体がメーカーと共同で開発、小売店自身のブランド名をつけて発売する商品(食品が有名だが食品だけではない)。基本的にはその小売店業者の関連店舗でしか購入できない。

・ナショナルブランド(NB)……メーカー自身が開発し、どこでも手に入る商品。誰もが知ってる大企業の製品が代表的。

となる。最近では食品系スーパーやコンビニ、汎用生活品ではお菓子や冷凍食品、菓子パンなどでよく見かける商品として普及している。

このPBについて、否定的な意見として別項目でエリア別と日本で調査した結果を以前別記事で取り上げているが、日本ではアジア地域とは異なる動きを見せている。

↑ プライベートブランド商品の価格・価値に対する認識(ネガティブ、その他)
↑ プライベートブランド商品の価格・価値に対する認識(ネガティブ、その他)(再録)

↑ プライベートブランド商品の品質に対する認識(ネガティブ)(再録)
↑ プライベートブランド商品の品質に対する認識(ネガティブ)

今件について、アジア圏内の調査対象諸国毎に詳細を眺めたのが、今回の対象項目。

まずは「品質」のうち、「品質を重視する場合、PB商品は適切でない」、言い換えれば「PB商品は品質が良くない」とする意見だが、アジア全体では平均で43%。しかし日本では24%に留まり、フィリピンに続きシンガポールと同じ低い比率に留まっている。

↑ 品質を重視する場合、PB商品は適切でない(アジア地域限定)
↑ 品質を重視する場合、PB商品は適切でない(アジア地域限定)

さらに「PB商品はお金があまり無い人や有名ブランド商品が高くて買えない人が買うもの」という、NBと同軸上にPBを置き、NBはPBよりも格下だという考え方については、アジア平均は43%。しかし日本は26%でしかない。

↑ PB商品はお金があまり無い人や有名ブランド商品が高くて買えない人が買うもの(アジア地域限定)
↑ PB商品はお金があまり無い人や有名ブランド商品が高くて買えない人が買うもの(アジア地域限定)

プライベートブランドリリースではこの傾向について「アジア地域に比べると、日本の消費者のPB商品への評価は高い」「日本とアジア地域のPB 商品に対する認識の差が顕著に出ています」とある。確かにこの項目だけを見ればその通りだが、同調査別項目の日本に関する結果「PBはNBほど品質も含め、良いものとは一概に言い切れないと考えている」「価格の割には良い商品であるという認識が強い」「不況時にはPBを愛用し、不況が過ぎても買い続ける意志が強い」も含めると、単純に「評価が高い」だけでは説明不足な感は否めない。

加えるならばPBは「NBとはまた別の購入対象カテゴリとして区分けされている商品群」「それなりな品質、それなりな価格としてNBと使い分け・買い分けの対象になる商品」とする認知をされていると考えた方が適切。コンビニ、大手スーパーやデパートの雑貨コーナーや食品売り場、とりわけ惣菜パンや冷凍食品、乳製品コーナーでPBがNBと同様に、場合によってはNB以上に品揃えされている様子を見ると、その考えが的外れでないことが理解できるというものだ。


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