消える照明、浸される沿岸…米衛星写真から震災直後の状況をかいま見る

2011/04/05 07:19

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該当地区先に【人工衛星と統計データから再確認する、震災における東北地方の停電状況】で紹介した【アメリカ海洋大気圏局(NOAA - National Oceanic and Atmospheric Administration)】の部局の一つに【NNVL(環境可視化研究所:Environmental Visualization Lab.)】がある。アメリカの静止環境観察衛星(GOES)や極軌道環境衛星(POES)などからの各種取得データを一般公開しているのだが、単なるデータの提供では無く多種多様な切り口でビジュアル化し、該当データが指し示している事象が多くの人に把握しやすいよう工夫を凝らしているのが特徴。そのNNVLにおいて先日、東日本大地震以前の平均的な夜間の照明、地震翌日の3月12日時点における照明を撮影した衛星写真が分析と共に公開された。今回はこれをチェックしてみることにする(【該当ページ:The Night the Lights Went Out Over Japan】)。



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↑ 地震以前の平均的な夜間時における照明
↑ 地震以前の平均的な夜間時における照明

↑ 地震直後、2011年3月12日時点の夜間時照明
↑ 地震直後、2011年3月12日時点の夜間時照明

原ページには最大サイズ、1920×1080ドットでの画像が用意されている。また被災地域の中心地である仙台周辺は特にズームアップされ、被災前後の状況を詳しく確認できる。


↑ 地震前(上)、後(下)の仙台周辺状況
↑ 地震前(上)、後(下)の仙台周辺状況

説明によるとこの写真はアメリカの軍事気象衛星(DMSP:Defense Meteorological Satellite)の撮影によるデータ。日本上空を夜間に通過する際に撮影したもので、「地震以前の平均的な夜間時における照明」は2010年において何度かとらえたデータの平均値から算出されたもの。また「地震の震源地を中心として津波の被害にあった地域、そしてその周辺地域ではほとんど照明が消え、それ以外の地域でも照明レベルが落ちているのが確認できる」とコメントされている。

3月12日時点の画像は雲の領域の問題からか、九州・四国南部や紀伊半島の明かりがほとんど確認できないが、東日本、特に関東以北の本州地域において、太平洋方面の大部分の明かりが消え、そしてそれ以外でも都市地域の多くで照明の光量が随分と落ちているのが分かる。関東北部から東北地方全般では直接的な地震の影響、そして東北地方太平洋岸ではさらに津波の影響で照明が消えたのが要因と考えてよい。

NNVLでは現時点ですでに今件以外に、複数の東日本大地震関連の分析データを公開している。例えば【Satellite Imagery of Japanese Flooding】では2011年3月13日時点の(津波による)浸水の状況を(同年2月26日のデータと比較する形で)衛星のMODIS(中分解能撮像分光放射計、MODerate resolution Imaging Spectroradiometer)で取得、分析したもの。


↑ 2月26日(上)と3月13日(下)時点での水の領域を示したもの。上と比較して、下の画像で多くの海岸沿いが浸水したままになっているのが確認できる
↑ 2月26日(上)と3月13日(下)時点での水の領域を示したもの。上と比較して、下の画像で多くの海岸沿いが浸水したままになっているのが確認できる。

NNVLでは逐次、衛星写真で確認が可能な、世界各地で起きている気象・地理・地質学的なデータの変移を分析、公開している。気になる人はチェックを重ねることをお勧めしたい。



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