乾電池、水、ガソリン…震災後の品不足感、関西より関東が上
2011/04/05 07:16
ジャパン・マーケティング・エージェンシーは2011年3月31日、東日本大地震に関する調査結果を発表した。それによると調査母体において、震災以降の生活で「不足」を実感し「必要だ」と感じている物品のトップには「乾電池」がついた。次いで「水」「ガソリン」「トイレットペーパー」の順となっている。ほとんどの物品で関西圏より関東圏の方が値が高く、関東圏での一時的な品不足の実情をうかがい知れる結果となっている(【発表リリース】)。
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今調査は2011年3月24日から25日にかけて15-59歳の男女に対してインターネット経由で行われたもので、有効回答数は800人。男女比・年齢階層比(-29歳・30代・40代・50代区分)は均等割り当て。関東(東京・神奈川・千葉・埼玉・栃木・群馬)と関西(大阪・京都・兵庫・滋賀・奈良・和歌山)で均等割り当て。
【買占め、良くない】や【食品の需給問題】などでもレポートしているが、震災後の流通網の混乱や、直接の被災地における生産地域の損害による供給量の減少、さらには被災地への支援物資の供給優先による全体的な需給バランスの変化などに伴い、各地小売店で商品不足が相次ぎ、棚から商品が消える事態となった。また、この震災を機に防災備品を揃えようという動きや、原発事故絡みでの水の確保、さらには計画停電に関連して懐中電灯の準備などの流れが一斉に起き、需給過多が発生している。
今調査母体における設問でも、「乾電池」「水」「ガソリン」の不足を訴える声は強く、「全体では」3割前後の人が不足を感じている。
↑ 震災以降の生活で不足しており必要だと感じるもの(複数回答、上位20位)
「乾電池」は元々防災用の備蓄商品として欠かせないものだが、今件震災後においてはむしろ、震災に起因する計画停電に備えてのものという色合いが強い(順位は下がるが「懐中電灯」も第7位に入っている)。また「水」は直接地震や水不足への備えというより、原発事故での水道水の汚染リスクを考慮したものである。第3位の「ガソリン」は震災に直結する流通網の混乱が主要因であるものの、第1位・2位共に震災の「間接的要因」がきっかけとなっていることは興味深い。
トイレットペーパーについては、古くは石油ショックの時から何故か買い占めの対象とされてきたし、「それほど消費量が多いのなら常日頃からある程度まとめ買いをしておけば良いのに」というツッコミが入りそうな気もする。何かあるとトイレットペーパーを買い占めるのは、日本の伝統行事なのかもしれない。
これを関東・関西圏別に見ると、当然ながら関東圏の方が高い値を示している。
↑ 震災以降の生活で不足しており必要だと感じるもの(複数回答、上位20位)(地域別)
特に「水」「ガソリン」、そして「牛乳」「乳製品」などの差異は大きい。「水」は原発に近いか否かが大きなカギとなっているし、「ガソリン」「牛乳」「乳製品」は流通網の混乱及びその影響の受けやすさ・難さを間接的に表しているともいえる。特に関東地域に住んでいる人は、青色の棒グラフが長い項目の商品の不足感を十分に味わった・味わっているはずだ(当方含む)。
流通網は回復しつつあるが、直接被災地の状況はまだ被害が把握しきれていないほど混迷していることは否定できず、さらに福島原発の事故は未だに進行中であり、予断を許さない状況にある。状況の改善、震災前への復帰、あるいは「新生」を果たすには、時間と努力と汗が必要となるだろう。
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