【更新】東日本大地震当日、関東地区でいつもの交通機関を使えずに徒歩で帰った人は3割超・泊まった人も2割近く
2011/04/02 19:30
ジャパン・マーケティング・エージェンシーは2011年3月31日、東日本大地震に関する調査結果を発表した。それによると調査母体(関東地区在住)においては、該当地震の本震発生時に「自宅」「勤務先のオフィス」に居た人はそれぞれ3割強であることが分かった。そして自宅や出張先以外に居て自宅に戻る必要があった人に、帰宅方法を聞いたところ、通常通りの方法で帰れた人は4割に満たず、徒歩で帰った人が3割を超えていたことも明らかになった。当日の交通機関の混乱ぶりが改めて確認できる結果となっている([発表リリース])。
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今調査は2011年3月24日から25日にかけて15-59歳の男女に対してインターネット経由で行われたもので、有効回答数は800人。男女比・年齢階層比(-29歳・30代・40代・50代区分)は均等割り当て。関東(東京・神奈川・千葉・埼玉・栃木・群馬)と関西(大阪・京都・兵庫・滋賀・奈良・和歌山)で均等割り当て。
今調査母体のうち東日本大地震の本震後、比較的交通網の混乱が大きかった関東地区在住の回答者400人に、本震当時どこにいたのかを聞いた結果が次のグラフ。自宅にいた人が約1/3、勤務先のオフィスにいた人が3割強。これは調査母体が男女均等なのが起因しているものと思われる。
↑ 本震発生時の居場所(関東在住者限定、複数回答)
他には作業現場、店舗内、屋外、自動車やバスの車内など多種多様な状況に居合わせた人がいるのが分かる。本震は午後3時前に発生している。職に就いている人の多くは仕事中であろうし、専業主婦・主夫の人は自宅にいるか、あるいは早めに夕食の買い物に出ていたかもしれない。
それではそのうち「自宅に戻る必要のあった人」(244人)に、どのような手段で自宅に戻ったのかを聞いた結果が次のグラフ。
↑ 本震発生後の帰宅方法(関東在住者限定&自宅・出張者などのぞく、複数回答)
たまたま自宅近所まで戻っていたり、勤務先と自宅がさほど離れていなければ帰るのに難儀はしない。だが、交通機関を乗り継がないと自宅に戻れない人の場合、いわゆる帰宅難民(帰宅困難者)となってしまう可能性が高くなる。今項目の該当者でも、通常通りの方法で帰れた人は1/3強に過ぎず、残りの人(約6割)は「通常以外の方法を余儀なくされた」計算になる。
通常以外でもっとも多いのは「徒歩で帰宅」。この手段を選んだ人は約3割。さほど本震時にいた場所と自宅が離れていなければ、時間はかかっても徒歩で帰るのが無難といえる。ただし帰宅過程で夜になる場合、停電で街灯が消えている可能性もあり、防犯のことを考えると無理をしてまで帰宅するのも疑問符が頭に浮かぶ。
帰宅を諦め、勤務先や友人宅、その他宿泊施設に泊まった人も少なくない。該当項目を全部足すと17.2%と2割近くに達する。自宅に帰らねばならない場合(例えば自宅に配偶者や歳をとった両親がいて安否が心配)をのぞけば、交通機関が混乱しているのが確実であるのなら、無理に帰宅せずに適切な場で泊まるのも賢明な選択肢といえる。
【東京都の記者会見議事録】を読み解くと、3月11日当日は都の関連施設だけで10万人近くの人が「帰宅困難者」として受け入れられたとの話がある。また、警視庁のサイト自身に記録は残っていないが、[一部報道(http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110312/dst11031209110128-n1.htm、現時点で該当記事なし)]によれば3月12日の時点で警視庁は「鉄道運休や道路渋滞など交通網のまひで11日夜に帰宅できなかった人」は都内だけで少なくとも11万6000人に達していたと伝えている。
災害時に発生する「帰宅困難者」については、以前からさまざまな論議が行われ、対策が打たれていたものの、今回の震災でそれらの対策がすべてうまく作用したとはいいがたい。今後は上手く行った点も行かなかった点も合わせ、3月11日についての記録を残して検証し、今後の改善のための材料として活用すべきだろう。
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