「うわ」と驚き「ラッキー」と喜べる自動車向けプロモーション

2011/03/26 19:30

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手裏剣直撃一定地域内で同業他社がひしめき合うエリアでは、他店より一人でも多くのお客を獲得するために、多種多様なプロモーションが展開される。秋葉原や日本橋のような電気街、神保町のような書店街が好例だ。ブラジルのサンパウロ南部にある日本料理店Original Shundiも、同一地域内に50店以上もの類似ライバル店を抱えており、いかに自店を目立たせ、足を運んでもらうかに頭を抱えていた。そしてその解決策として採用したのが、今回紹介するプロモーションである(【ADS of the World】)。



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↑ 「私の自動車にシュリケン・アタックが!」
↑ 「私の自動車にシュリケン・アタックが!」

同店では自店が取り扱う商品が「日本料理」であり、日本と関連性が深いことに注目。皆が知っていてひと目で「これは日本のものだ」と分かり、しかもインパクトのあるものとして選ばれたのが「手裏剣」。Original Shundiの周囲2キロ圏内に停車していた1500台以上の自動車に対して「手裏剣攻撃(Shuriken attack)」が行われた。

自動車を止めて買い物などに出かけ、戻ってきた人は一様に驚きの声を挙げる。自分の車に複数の手裏剣が突き刺さっているのだ。「忍者はどこにいるの?」「近くで忍者同士の戦いでもあったのかしら」「なんてこった、オレの新車が手裏剣攻撃を受けちまった」などなど。

↑ 「俺の自動車も手裏剣の前には形無しだな」
↑ 「俺の自動車も手裏剣の前には形無しだな」

しかし良く見ると、それらは紙製の手裏剣。自動車に刺さったように見えた部分は初めから欠けていて、ぺたりと貼りつけていただけだった(資料には無いが弱めの粘着テープなどが使われているのだろう。あるいはマグネットシートの類かもしれない)。そして手裏剣の裏にはOriginal Shundiの店名と住所、そしてこの「手裏剣」を持参するとドリンクが一杯無料になるという説明。

↑ 実は紙製の手裏剣で、めり込んだように見えた部分は初めから欠けている。しかもお店の住所が書かれていて、さらにフリードリンククーポン代わりに。
↑ 実は紙製の手裏剣で、めり込んだように見えた部分は初めから欠けている。しかもお店の住所が書かれていて、さらにフリードリンククーポン代わりに。

「日本」を容易に想像させる手裏剣型のチラシに、ドリンクフリーのクーポンの役割も果たさせ、自動車に「攻撃」させるプロモーション。手裏剣は自動車本体どころか、その自動車の持ち主のハートを直撃してしまうことになる。効果も抜群で、この「手裏剣攻撃」を行った翌週のお昼時における来客数は通常時と比べて80%も増加したという。

昼間に一時停車している自動車に対して「手裏剣攻撃」をしたのだから、対象も昼間に自動車を利用している=手裏剣に気が付く可能性が高く、その手裏剣を使って来店する可能性も昼時が多くなる。時間帯もある程度絞り込むことができるし、当然受け手には驚きと共に、強烈な印象を与えることが出来る。

知ってほしい対象物と深い関わり合いのあるアイテムを使い、自動車の持ち主にアピールする方法としては、例えば他に【ゴルフ好きが腰を抜かす雑誌のプロモーション】がある。これはゴルフ雑誌の宣伝をするために、ゴルフ大会の見学に訪れたお客の車に対し、ゴルフボールが当たったかのようなラベルを貼りつけというものだ。もちろんラベルには雑誌の宣伝が書かれている。


↑ ゴルフ大会に訪れた自動車に、「ゴルフボール命中」と思わせるような広告ラベルをぺたり。
↑ ゴルフ大会に訪れた自動車に、「ゴルフボール命中」と思わせるような広告ラベルをぺたり。

日本でも停車中の自動車のワイパー部分に、駐車場や自動車を担保にした借り入れの話など、関連するチラシが挟みこまれることはある。今回紹介した手裏剣や、ゴルフボールのラベルはその発展系というところだ。ちょっと驚かされるものの、嬉しい驚きに変わる、素敵なプロモーションといえよう。


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