安上がりで新規顧客を大量に獲得できそうな魔法のハガキ
2011/03/14 19:30
クリスマスやお正月、暑中見舞いの時期が近づくと、色々なポータルサイトで電子グリーティングカードのメールサービスが展開される。葉書で送る代わりに電子メールで祝いの気持ちを贈ろうというものだが、多種多様な絵柄でアピールできる選択肢を提供する代わりに、一緒に広告(バナーなど)も送付するというビジネスモデルを取っている。贈り手側からすれば手軽で料金もかからないし、運営側にすれば手放しで広告を四方八方に広げてくれるので、良い所どり。しかも受け取った側はそのサービスの存在を知り、次のチャンスに使ってくれるかもしれないため、顧客予備軍を創生してくれるという副次効果まで生み出してくれる。今回紹介するのは、その電子クリ―ティングカードの仕組みを、本物の葉書にも取り込んだ広告手法である(【ADS of the World】)。
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↑ 見た目は普通のグリーティングカード。横から見ると小切手帳のような仕組みなのが分かる。裏面はお祝いのイラスト
これはクロアチアの広告代理店、Imagoが行った、自社アピールのためのプロモーション。自社の存在とセンスの良さを分かってもらうため、一人でも多くの「代理店を必要とする立場にある人たち」に注目してもらう必要がある。しかも出来ればコストパフォーマンスの良い切り口で。
そこで用意されたのが、このグリーティングカード。写真にあるように、数枚の葉書が小切手帳のような形で綴じられている。右端が切り取り線、左端に穴が開いており、その穴にヒモを通してばらばらにめくれない仕組みになっている。そしてそれぞれの葉書には「表面には切手とメッセージを書くエリア、使い方」「裏面には祝いの絵柄」が描かれている。
使い方の部分の記述は次の通り。「このImagoのグリーティングカードを使えば、素敵な気持ちの贈りものができますよ」とのコピー。そして「贈り手からのメッセージが書かれたあなた宛ての葉書を切り取り、一枚下にある無地の葉書を露出させましょう。そしてあなた”が”カードを贈りたい相手の住所氏名とメッセージを書いたら、左のヒモで残っている葉書と共にくくりつけ、ポストに投函して下さい」との具体的な説明。
↑ 自分の分を切り取って、下にある無地の葉書に、自分がカードを贈りたい相手の住所や名前、メッセージを添える。そしてヒモでくくって投函
受け取った人は自分宛の葉書を小切手のように切り取り、一枚下の無地の葉書を使う。ただしその一枚だけではなく、下に残っている「他の無地の葉書」と一緒に贈ることで、贈った相手にも「あなたもどなたか別の方にグリーティングカードを贈れますよ」とうながすことができるわけだ。もちろんすべての無地葉書にはあらかじめ切手が貼ってあるので、無料で贈れる。
受け取った人は自分宛のを切り取り、自分の知り合いに残りを贈り……を繰り返していくことで、一番最初にグリーティングカードを贈ったImagoが意図しない第三者にまで、カードを広めることができるようになる。しかも、見も知らぬ相手にカードを贈ることはあり得ないので、結果的にImagoが求める対象「代理店を必要とする立場にある人たち」に近しい人たちに、このカードそのものが浸透していくことになる。カードだけでなく、その発想力の豊かさも、だ。
インターネットのように瞬時に相手に贈られるわけではないので、一枚一枚消費される過程では多少の時間を要することになる。あるいは全部消費しきる前にタイミングを逸し、連鎖がストップしてしまうかもしれない。しかしそれでも非常に安上がりで「想像もしなかった新規顧客を得る可能性」を得られるのは、非常にコストパフォーマンスのよい仕組みといえよう。
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