パソコン上で絵を描く人なら「なるほど」と深くうなづく広告

2011/03/12 19:30

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やってしまいました多種多様な作業が行える魔法の箱、「パソコン」。それを使うことで人は文筆家にもなれるし、歴史研究家にもなれるし、アナリストにもなれるし、絵描きにもなれる。それら「パソコン使い」の多くが愛してやまない機能の一つが「直前のプロセスに戻る機能」。ざっくばらんな表現をするなら「タイムマシン的機能」。時系列をさかのぼり自分の失敗を「無かったこと」にしてくれる、大変素敵で頼もしい機能だ。今回紹介するのはその機能に絡めた、パソコンが普及している現在なら多くの人が「なるほど」と深くうなづいてしまう広告である(【ADS of the World】)。



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↑ 全体図。右端には宣伝をしたい接着剤が見える
↑ 全体図。右端には宣伝をしたい接着剤が見える

↑ ティーカップ部分を拡大。ワイヤーフレームで描かれたキーボードが確認できる。そして実体化している2つのキーは……
↑ ティーカップ部分を拡大。ワイヤーフレームで描かれたキーボードが確認できる。そして実体化している2つのキーは……

これはウルグアイのRAMASIL社が発売している接着剤「Unigota」の広告。中央にはバラバラに砕けたティーカップがあり、そこにワイヤーフレームで描かれたキーボードがかぶっている。そして2つのキーだけが白く塗られ、目立つ形で表示された状態。右端には良く見ると、アピールしたい対象の接着剤。

目立つ2つのキーは「Z」キーと「コントロール」キー。そう、冒頭で触れた「直前のプロセスに戻る機能」に相当する「Undoコマンド」を実行するショートカットの2つのキーを表している。もちろん「Undoコマンド」はソフトウェア上だけの話だから、現実世界ではいくらショートカットでコマンドを実行しようとしても、直前のプロセスには戻らない。つまり、ティーポットは割れる直前には戻らない。

そのような場面の端っこに接着剤を置くことで、「接着剤”Unigota”なら、そのショートカットと同じことができますよ」ということをさりげなくアピールしているわけだ。あるいは逆説的に「現実世界にはUndoコマンドなどありません。元通りに直すことなど出来ないのです。せめてうちのUnigotaの接着剤で修復しましょう」と代替案を示唆している、と考えても良いだろう。

いずれにしても、多くの人が知るようになった「Undoコマンド」のショートカットを表示するだけで、「やってしまった…どうにか無かったことに出来ないか、元に戻せないか」という、ティーポットを落とした本人の表情が容易にイメージされ、気持ちが手に取るように分かる。その観点では、リアリティのある、同一感度の高い広告といえる。

この接着剤の広告には他にもいくつかの「やっちゃった」パターンが存在する。

↑ 黒い花瓶
↑ 黒い花瓶

↑ 鳥の置物
↑ 鳥の置物

↑ ピンクの花瓶
↑ ピンクの花瓶

いずれも最初に挙げた事例「ティーポット」と比べると破損状態がひどく、例え接着剤を使っても元の姿に近づけるのは難しいのでは? と思わせるところもある。ただ、その分、無理だと思っていても「Undoコマンド」を実行したくなる気持ちの高まりも理解できようというものだ。

パソコンの操作上のショートカットや著名ゲームの呪文などは、受け手に「確かに」と思わせるのに都合のよい「仕掛け」といえる。日本でも基本的にショートカットは共通だから、色々と応用も可能だろう。



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