国際的な好影響度、日本はドイツ・カナダ・イギリス・EUに次いで5番目

2011/03/11 12:10

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ワールドイギリスの公共放送局BBC(The British Broadcasting Corporation)は2011年3月7日、毎年恒例となっている「個々の主要国が国際社会に及ぼす影響に関する認識投票」の結果を発表した。2011年分は17か国と共同体(以後「国」に集約)を投票先国として提示し、27か国に尋ねた結果を集計したもので、肯定的意見がもっとも多かった国はドイツ、次いでイギリス・日本・EUの順となった。肯定的意見から否定的意見をマイナスした、認識肯定度ではやはりドイツがトップ、次いでカナダ・イギリス・EU・日本の順となっている(【該当記事】【発表リリース、PDF】)。



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今調査は2011年分においては「ドイツ、イギリス、日本、EU、カナダ、フランス、アメリカ合衆国、ブラジル、中国、南アフリカ、インド、韓国、ロシア、イスラエル、パキスタン、北朝鮮、イラン」を投票対象とし、「カナダ、アメリカ合衆国、メキシコ、ブラジル、ペルー、チリ、ドイツ、イギリス、フランス、イタリア、スペイン、ポルトガル、トルコ、エジプト、ガーナ、ナイジェリア、ケニア、南アフリカ、ロシア、中国、パキスタン、インド、日本、韓国、フィリピン、インドネシア、オーストラリア」(以上順不同)の人たちに対し、個々の国毎に800人-約2500人(基本は1000人)ずつに対し、2010年12月から2011年1月にかけて18歳以上(一部15歳以上などがある)の人に対して行われたもの。多くは全国での調査だが、一部は都市部のみのものもある。調査方法は電話、または対面調査によるもの。個々の投票国毎に「国際社会に及ぼす影響は肯定的なものか、否定的なものか」を尋ねている(結果には「場合に寄る」「どちらでもない」「中立」「未回答」もある)。

調査結果には17か国それぞれに対する投票結果が示されているが、いくつか調査データを基にグラフを構築し、内容を紹介することにしよう。

まずは純粋な肯定・否定の影響力評価。これは25か国(一部24か国)を対象にした結果で、後ほど「25か国から聞いた2010年分」との比較のため、27か国からの聴取データではないものを使っている。

↑ 対象国への国際社会における影響力評価(25か国調査(一部24か国))(2011年)
↑ 対象国への国際社会における影響力評価(25か国調査(一部24か国))(2011年)

左から見てドイツからブラジルあたりまでは否定的意見が少ないものの、それより右は否定的意見が多く、肯定的意見が多くともそれを打ち消すような形となっているのが分かる。また、ロシアより右側は否定意見の方が多い。

これでは分かりにくいかもしれないので、「肯定的」から「否定的」を引き、独自に「国際社会における影響力に対する肯定度」(認識肯定度)を算出したのが次のグラフ。こちらは過去のデータと比較する必要がないので、27か国からの聴取データが算出対象。

↑ 国際社会における影響力に対する肯定度(肯定的-否定的)(2011年調査における27か国のデータを利用)(%)
↑ 国際社会における影響力に対する肯定度(肯定的-否定的)(2011年調査における27か国のデータを利用)(%)

ほぼ同じ並びではあるが、イギリスや日本が多少ながらも後退しているのが分かる。これは否定的意見が足を引っ張っているため。

気になるのは去年からの変移。去年分のデータは【こちらの記事経由で取得が可能】で、それに基づいて算出したのが次のグラフ。肯定的な数字は増えた方が、否定的は減った方が、投票を受けた国にとっては嬉しい話となる。

↑ 対象国への国際社会における影響力評価(25か国調査(一部24か国))(前年比)
↑ 対象国への国際社会における影響力評価(25か国調査(一部24か国))(前年比)

パキスタン、北朝鮮、イラン、韓国、ドイツなどの否定的意見の増加が目に留まるが、他は概してポジティブな方向への動きが見て取れる。

日本の値はどうだろう
せっかくなので日本にスポットライトを当てて詳細を見ていくことにしよう。まずは2011年における、投票国それぞれの動き。

↑ 国際社会における日本への影響力評価(2011年、%)
↑ 国際社会における日本への影響力評価(2011年、%)

概して高めなのは幸い。特に東南アジア諸国での高さが嬉しいところ。またアメリカ、ヨーロッパやアフリカでも押し並べて高めの意見が寄せられている。しかしそれだからこそ、メキシコの否定意見の多さ、中国の突出した否定意見が目に留まる。特に中国の否定的意見の多さは、日本全体の評価の足を強く引っ張ったことがうかがえる。

先のグラフ同様に独自に「国際社会における影響力に対する肯定度」を算出してもそれが分かる。

↑ 国際社会における日本への影響力に対する肯定度(肯定的-否定的)(2011年、%)
↑ 国際社会における日本への影響力に対する肯定度(肯定的-否定的)(2011年、%)

アメリカ大陸では押し並べて高く、アフリカや東南アジア、ヨーロッパではまちまちといったところ。そしてメキシコと中国、特に後者の下げ方が目立つ。

さらにこの「国際社会における影響力に対する肯定度」を2010年発表分についても算出し、2011年からの変移を計算したのが次のグラフ。

↑ 国際社会における日本への影響力に対する肯定度(肯定的-否定的)(2010年から2011年への変移、%)
↑ 国際社会における日本への影響力に対する肯定度(肯定的-否定的)(2010年から2011年への変移、%)

ヨーロッパやアジアからの評価が高まり、中国やメキシコの評価が大いに下がったことが分かる。中国については例の尖閣諸島や東シナ海ガス田問題など多数の事象によるものと思われるが、一部は日本の担当政治家の力量不足によるところがあったとしても、多分に責があるのは中国側なのは承知の通り。にも拘わらず一般市民に対する調査でこのような結果が出るところを見ると、中国内部における情報統制がよほど上手く行っている証拠とも受け止めることができよう。一方、メキシコの動きについての原因は不明。



今件はあくまでも印象を尋ねたものであり、具体的な影響力のあるなしを判断する材料としては決定力に欠けることを付け加えておく。また、中国の事例にあるように、多分に国民感情に反映されることから、影響力そのものの判断よりも、その国に対する印象度的なものとして見た方が良いかもしれない。そしてその場合、多分に「今後の期待」も含まれていると考えた方が良いだろう。



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