【更新】5割近くが「CMにイライラ」、録画視聴者の約9割がCMスキップ
2011/02/21 06:43
リサーチ・アンド・ディベロプメントは2011年2月15日、録画視聴も含めたテレビ視聴に関する調査結果を発表した。それによると調査母体においては、5割近くの人が「テレビCMで番組が中断されるとイライラする」経験を持つと回答したことが分かった。また、テレビ番組を録画して視聴する人の約9割が、CMをスキップしていることも確認できる([発表リリース、PDF])。
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今調査は2010年10月、首都圏40キロメートル圏内の18-74歳男女に対し、訪問留置法によって行われたもので、有効回答数は3000。男女比は非公開、年齢階層比は18-24歳337人・25-29歳293人・30代670人・40代498人・50代545人・60代481人・70-74歳176人。
今調査母体では全体で6割近くが「テレビは欠かせない存在」としている一方で、約1/3が「テレビが無くても特に困らない」と答えている。全般的に若年層ほどテレビとの距離を置く傾向が強い。
↑ 自分にとってテレビは欠かせない存在(再録)
↑ テレビが無くても特に困らない(再録)
民放においては番組配信時に欠かせないのが「テレビCM」。詳しくは【2010年3月期におけるキー局銘柄の第1四半期決算…(1)「キー局」と「スポット広告」「タイム広告」】で解説しているが、テレビCMには大きく「タイム広告」「スポット広告」の2種類が存在し、テレビ局はそれらの「広告枠」を切り売りすることで売上をあげている。
タイム広告とスポット広告(再録)
いわばテレビ番組は「販売する広告枠の価値を高めるための引き立て役」というわけだ(詳しくは【テレビ放送は本当に凋落の真っただ中なのか? 総務省データの衛星放送部分を見直してみる】で解説している)。
↑ テレビ局のビジネスモデル(【テレビ放送は本当に凋落の真っただ中なのか? 総務省データの衛星放送部分を見直してみる】から一部抜粋、再録)
それでは視聴者側からは、テレビCMにどのような気持ちをいだいているだろうか。その一端をかいま見れるのが今回の調査項目。まずはテレビCMで番組が中断されることで、イライラすることがあるかという設問だが、これには全体で5割近くが「ある」と回答している。
↑ CMで番組が中断されるといらいらすることがある
「常にイライラさせられる」「イライラ頻度が高い」ではなく、単純にある無しなので実態は番組・CMの構成内容にもよるのだが、それでも半数近くが不快に思った経験を持っている。興味深いのは性別・世代別の差異があまり見られないこと。CMへのストレス感は万人共通のようだ。
テレビCMというと先日【録画TV/レコーダの「CM自動カット」機能を見直し-三菱は次期製品で「オートカットi」省略へ】などで伝えられているように、CM自動カット機能を持つ録画装置について、メーカー側では民放連などの意見を受け、今後は機能を外す動きに出たことが思い浮かばれる。その「テレビ番組の録画」だが、「リアルタイムに観る時間が無い」「後で繰り返し観たい」「保存しておきたい」そして「CMをカットしてスムーズな流れで観たい」などのニーズに応えてくれる。特に時間が多忙でながら視聴を余儀なくなされることが多い中堅女性を含む、30-50代に録画視聴経験者が多い。
↑ テレビ番組の録画視聴経験がある人(頻度は問わず)
この、録画視聴の経験がある人に「録画したテレビ番組を視聴する際に、CMをスキップするか否か」について聞いたところ、2/3近い人が「いつもスキップする」と回答した。「ときどき」を合わせると9割近くに達する。
↑ 録画視聴時のCMスキップについて(録画視聴経験者63.9%限定)
以前【若者層の新聞離れのトップは「お金がかかるから」、その意見に潜むものは……】でも解説したが、若年層ほど多数の情報取得発信媒体に囲まれて育ち、それらを上手く、効率的に使いこなすことに長けている。そうでもしなければ、自分の好奇心を満たすことはできないからだ。観たいのは番組であってCMでは無い。ならば「合理的に」考えれば、スキップ機能を使うのは当然の話。歳を経るほどその「割り切り」が出来ず、CMのスキップをしない傾向が確認できる。しかしそれでも70歳以上はともあれ、50代以降でも5割以上が「常に」、3割近くは「時々」CMを飛ばしているのが確認できる。
なおこの値は4年ほど前に別調査機関が行った結果【テレビCMの非視聴率は35.1%-DVD・HDDレコーダー利用者の過半数が「テレビCMのほとんどをスキップ」】とさほど違いは無く、レコーダー利用者全般の傾向と観てよいだろう。
本文中でも触れているが、今後発売されるレコーダーからはCMスキップ機能の搭載は自粛される動き。さらに「地デジ」への切り替えや番組の質の変化もあわせ、視聴者のニーズに背を向けて前進している感は否めない。今後どのような動きがあるのか、気になるところだ。
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