米若年層の9割はSMSを利用・アメリカにおけるモバイル端末の機能利用率
2011/02/09 12:10
アメリカの大手調査機関PewResearchCenterは2011年2月3日に、同国のデジタル機器(ガジェット)の保有率、そして世代との関係におけるレポート【Generations and Gadgets】を公式サイト上で発表した。以前【電子書籍リーダー5%、タブレットパソコンは4%…アメリカのデジタル機器の普及率】などで解説した調査結果を別視点から分析し直した報告書で、内容的に重複している部分もあるが、同国のデジタル機器に関する普及動向を知るには適した内容となっている。今回はその中から、モバイル端末(携帯電話とも表記。実際には携帯電話だけでなくスマートフォンなども含む)の主な機能の利用率に関する項目を、ピックアップする。
スポンサードリンク
今調査は2010年8月9日から9月13日にかけてRDD方式で選択された18歳以上の男女に、固定電話・携帯電話経由で口述インタビュー形式にて行わている。有効回答数は3001人。そのうち1000人が携帯電話経由。
まずは単純なモバイル端末(今記事では単純に「携帯電話」とも表記)所有率。これは携帯電話だけでなく、ブラックベリーやiPhoneのようなスマートフォンまで含めた「自分のものとして持っている」人の割合。全体では85%、46歳までの若年-中堅層は9割以上の値を示している。
↑ アメリカでのモバイル端末所有率(通常の携帯電話、ブラックベリーやiPhoneなどのスマートフォン含む)(再録)
今回焦点をあてるのは、この携帯電話保有者における使い道。主な機能を例示し、それを使っているかを聞いた結果が次のグラフ。緑が全年齢層を合わせた値で、左から大きい順に並べてある。
↑ 携帯電話の機能利用率(各世代の携帯電話保有者に対する割合)
まず最初に気がつくのは、「SMS(ショートメッセージサービス)の送受信」以上に「写真撮影」が利用されていること。若年層はもちろんだが中堅層以降でも他の項目と比べて高い値を示しており、これが全体を押し上げる結果となっている。そして「写真撮影」と「SMSの送受信」は幅広い年齢層で活用されているため、全体の利用率も過半数を超えている。【米若年層が携帯を欲しがる理由、トップは「テキストメッセージ」】で解説しているように、最近ではSMSの発展型で画像も送れるMMS(マルチメディアメッセージングサービス、Multimedia Messaging Service。電話番号当てだけでなく携帯メールアドレスにも送れる)が浸透しており、SMSと写真撮影が共に多用されているのも理解できる。
それ以外の機能は全体で2割強程度に下がる。これは34歳までの若年層がほぼ過半数の利用率なのに対し、それより上の層、特に47歳以降の層で急激に利用率が落ち込むのが原因。つまり
「中堅層……写真とSMSはフル活用、その他機能はぼちぼちと」
「高齢層……写真とSMSをそれなりにたしなむ、その他機能はほとんど使わず」
というスタイルが見て取れる。
最後に、上記2つのグラフを掛け合わせ、「各世代の全員に対する携帯機能の割合」を算出する。例えば75歳以上の「インスタントメッセージ送受信」は「携帯電話保有者」内では6%。その世代の携帯電話保有率そのものは48%だから、掛けて大体3%になるという次第。
↑ 携帯電話の機能利用率(各世代の全体に対する割合)
携帯電話の保有率そのものが「若年層>>高齢層」、保有者における機能の利用率も「若年層>>高齢層」なので、二つを掛け合わせれば当然若年層と高齢層の差が開く結果が出てしまう。一方で、それでもなお57-65歳の半数、66-74歳の1/3が、携帯電話で写真撮影を楽しむというのは、ある意味カルチャーショックを覚えるものがある。
携帯電話の社会的な影響や市場動向を考査する際に、このようなデータは極めて重要なものとなる。日本でも同様のデータを望みたいものだが、この規模のボリュームと調査母体について十分考慮したもの(特に年齢階層における回答者構成比の問題や、回答条件が回答項目に影響を及ぼしにくいもの)はなかなか見つけることができない。今後の登場に期待したいところだ。
スポンサードリンク