くしゃくしゃに丸めることでアピールできるチラシ
2011/02/10 06:08
さまざまな話題を振りまき多くの人々の記憶に刻まれた「2010 FIFAワールドカップ」。試合結果の予言を次々と当てるタコが国家的なヒーローになるというとんだオマケまで付いたが(【予言タコ・パウル君、Wikipedia入り】)、今大会もまた他の世界的に人気のあるスポーツイベント同様に、「少しでも良い環境で試合を視聴したい」というニーズを喚起し、テレビ本体やその周辺インフラの普及を後押しする一因にもなった。今回紹介するのもその類で、ワールドカップをHDのテレビ(高精細度テレビ)で観ましょうとお勧めする、ケーブルテレビ局のチラシによるプロモーションである(I Believe in Advertising)。
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↑ 表面はごく普通の宣伝面。裏面はサッカーボールの模様。サッカーをイメージしたものだとは分かるのだが……
これはフィンランドのケーブルテレビ局Welhoが行った、チラシによる自社サービスのプロモーション。他局のサービスよりも高精細度な(、と自負する)自社サービスをアピールし、ワールドカップをよりリアルに、より身近で観てもらいたいとの意欲をチラシに刷り込んでいる。
表はごく普通のケーブルテレビの広告。「フィンランドでも当社のサービスならワールドカップがHDで視聴できますヨ」とフィンランド初のHD放送であることを喧伝しているが、特にこれまでの広告と変わった様子は無い。そして裏面は一面にサッカーボールのような、六角形の模様。「ワールドカップを前面に押し出しているから、このような模様を使ったのかな?」とチラシを手にした読者は、第一印象を頭に思い浮かべる。
しかし表を良く見直すと、それが単なる模様ではないことが分かる。チラシにいわく「裏の六角形模様を表にして丸め、紙の球を創って下さい。まるでサッカーボールのようになります。あなたのご自宅で弊社Welhoのサービスを(ご契約して)視聴できるようになるまでは、このサッカーボールを使った『指サッカー』をお楽しみください」。
↑ 図解にあるように、チラシそのものを丸めてサッカーボールを自作し、指でミニサッカーを楽しんでね、という主旨のものだった次第
このような形でチラシの活用法を提案することで、「一読させてオシマイ、ゴミ箱行き」ではなく、より長い時間チラシを手元に留めさせられるようになる。サッカーボールと化したチラシはすでに本来アピールしたい文面こそ見えなくなってしまっているが、サッカーボールそのものがワールドカップへの興味を駆り立て、そしてより良い臨場感を楽しめるサービスを提供するWelhoへと連想させていく。「あれ、あのテレビ局どこだったけか?」と忘れてしまっても大丈夫。手元の自作サッカーボールを開いて裏返せば、そこに答えが書いてある。
チラシを単なるチラシで留まらせること無く、他の使用方法を提案し、それによりチラシそのもので訴えかけたいこととの連想を強化すると共に、チラシの寿命そのものも引き延ばす効果を発揮する。シンプルだが「なるほど」と思わせる工夫といえる。同社はこれをスポーツ関連の雑誌に折り込んでいるため、多くの人が「指サッカー」を楽しんだに違いない。
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