「もったいないお化け」の現代版的な環境保全広告
2011/02/07 07:15
1980年代に放映された公共広告機構のテレビCMに「もったいないお化け」というものがある。食べ残しをするなどの「もったいない」行動をした人の枕元に立ち、その行為を戒めるというもので、「まんが日本昔ばなし」風で分かりやすいタッチが老若男女に受け、いまだに多くの人に愛され、語り伝えられている(【YouTubeでもその形跡を見つけることはできる】)。その「もったいないお化け」は日本の昔話・説話風に「物を大切にすべき」ことを説いたものだが、「現代風にアレンジするとこのようなものになるのでは」というのが今回紹介する広告である(I Believe in Advertising)。
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↑ 街々を破壊していく勇ましい軍用機。よく見ると……
これはベネズエラの、環境保全をアピールした公共広告。前面には勇ましい姿の戦闘攻撃機が複数飛び交い、バックには彼らによって業火にさらされた複数の都市群が見てとれる。住民にとっては悪夢でしか無い情景。しかしその戦闘攻撃機をよく見ると、壊れたボールペンやライター、ストローをはじめ、さまざまな廃品で構成されていることが分かる。
そして右上には「我々が(無駄に)打ち捨てた品々が刃を向けてくるぞ。リサイクルを心がけましょう」とある。身の周りにあるモノを無駄に浪費して十分に使いこなさずに、しかもリサイクル品として回収してもらうなり分別もせずに投げ捨てると、それらは巡り巡ってこの戦闘攻撃機のように我々を痛い目に合わせることになるだろう。そのようないましめ的メッセージをダイレクトに「リサイクル品が軍用機と化して襲ってくる」という表現で表しているわけだ。
今テーマの広告には他にもいくつかのパターンがある。兵器が陸上・海上のもの、というだけで訴えている内容に変わりは無い。
↑ 戦車と軍艦。吸い殻の大きさを見ると、ゴミそのもののサイズに変化は無いという設定のようだ
「廃物品の逆襲」というテーマなら、もう少し被害を受けた側の描写を明確にしておかないと、「ゴミで創った戦車とか、カッコいい」という本来訴えたいものとは違ったメッセージを(特に子供に)植え付けてしまう可能性はある。とはいえ表現の仕方としてはダイレクトで分かりやすいことに違いは無い。
「無駄使いによる環境破壊や資源不足」が場合によっては「彼ら」の直接的な行動以上に大きな痛手を人々に与え得ることを考えれば、このような「攻撃」ですら生易しいものかもしれない……と考えてしまう点でも、良く出来た広告といえよう。
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