少年の問題行為を見かけた大人、半数近くは「見て見ぬふり」
2011/02/05 12:05


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今調査は2010年11月25日から12月5日にかけて、層化2段無作為抽出法によって選ばれた20歳以上の男女3000人を対象に、調査員による個別面接聴取方式で行われたもので、有効回答数は1886人。男女比は858対1028。
「見知らぬ少年が喫煙しているのを発見した」「深夜に少年のグループが公園などに集まっているのを見つけた」など、いわゆる少年による不良行為を見かけた場合、どのような対応をとるのか。選択肢の中から一つ選んでもらったところ、最多回答数となった項目は「注意したいが見て見ぬふり」で49.2%に達していた。約半数は「放置する」ということになる。

↑ 不良行為をしている少年を発見した場合の対応(択一)
次いで多い回答は「警察官に連絡する」で17.9%、「大したことではないと思うので放置」が12.2%と続いているが、前者はともかく後者は実質的にトップ項目の「注意したいが見て見ぬふり」にニュアンス的には近い。「大したことではない」が本当に単純な判断によるものなのか、あるいは「問題がある、と判断すると注意をするか否かの選択をしなければならなくなる。面倒なことは避けたいから、ならば……」と考えて、半ば自分自身を誤魔化した上での末のものによるか、設問からだけでは分からないからだ。
この反応を属性別に見たのが次のグラフ。

↑ 不良行為をしている少年を発見した場合の対応(択一)(男女別)

↑ 不良行為をしている少年を発見した場合の対応(択一)(世代別)
女性は男性よりも「非行行為に対する問題性への認識」が高いものの、同時に「リスクを考えて注意を避けざるを得ない自分の立場」も同時に理解している模様。同じ「放置」でも「大したことでは無い-」が低く、「注意したいが-」が高い動きを見せているのがその現れといえる。
世代別では若年層ほど放置を決め込む傾向が強いようだ。特に「注意する」「大したことではないと思うので放置」の動きが、ほぼ正反対であるのが特徴的。あるいは問題の設定にある「少年による喫煙」「深夜の少年のグループによる公園での集会」の状況そのものを、若年層はごく当たり前のものとしてとらえているのかもしれない(後者はともかく前者は立派な犯罪である(未成年者喫煙禁止法に抵触する))。
なお、選択肢で「見て見ぬふり」をした人に「なぜその選択肢をとったのか」について聞いた回答は次にある通りだが、やはり報復を恐れての選択であることが分かる。

↑ なぜ見て見ぬふりをするのか(注意したいが見て見ぬふりと回答した人限定)(択一)
実に3/4近い70.9%が「暴力を振るわれる恐れがある」、次いで「注意しても聞き入れないと思う」が18.3%。見方を変えれば9割近くが「注意しても相手はその行為を止めないだろう」という推測によるものだというのが分かる。「注意しても効果はほとんどない」と考えたのなら、見て見ぬふりを選択するのも当然の話といえる。

大人一人ひとりにとって、視界に留まる不良行為をしている少年たちの姿は、社会全体の風潮を表すと共に、個々の大人の態度・気持ちを映し出す鏡でもある。それを大人たちはよく認識しなければならない。
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