禁煙できない人の胸に刺さるセリフが続くCM
2011/01/07 06:45
昨年10月のたばこ(税)の値上げは多くの喫煙者の禁煙へのきっかけとなったが、結果としては大きな効果を挙げたとは言い難い(【理想3割・現実1割強…たばこ値上げに伴う禁煙、その願望と現実】)。やはり値が上がっても捨てがたい魅力が喫煙にはあるようだ。今回紹介するのは、同じように値上げなどでは禁煙し難い人たちを抱えるロシアで展開された、禁煙キャンペーンのテレビCMである(【Creative Criminals】)。
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↑ Childish excuses。
お茶会をしているかのような子供達の集まり。彼・彼女らの口からは次のようなセリフが語られる。そして手には火のついていないたばこ。
「分かってるよ、いつでも喫煙は止められるから」
「うちのお婆さんは96歳までずっとたばこを吸っていたよ」(だから喫煙すると早死にするというのはウソさ)
「彼氏と別れてから再びたばこを吸い始めたのよ」
「これは軽いたばこ。だから害は無いのよ」
「今はできないけど、誰かが止めてくれたら、きっと私は禁煙できるわ」
「彼女と一夜を共に過ごした後、一緒に一服するのは最高だよ」
「喫煙による身体への害は実証されていないじゃないか」
「禁煙したら太るんじゃないかって心配しているのよ」
「Allen Carr※の本を読むので、そしたら止められるよ」
「もちろん喫煙が体に害を及ぼすのは分かってるのよ」
「禁煙ってとても辛いのよね」
※Allen Carr:禁煙セラピスト。『読むだけで絶対やめられる禁煙セラピー』などで有名。
ごく自然な仕草で、まるでいつもの行為の繰り返しのようにたばこを手にし、口元にたばこを納め、ライターで火をつける。しかしその瞬間カメラが切り替わり、喫煙し始めたその姿は大人に代わっている。
↑ たばこに火をつける子供。しかしその姿は大人へと変わる。
一服ついた男性のアップのあと、映し出されるのは次のメッセージ。
実際、禁煙を試みようとして失敗した人、喫煙中で禁煙をしないのかと聞かれた人の多くからは、これらの言い回しを耳にする。あえてそれらを「大人のふりをした子供」に語らせることで、それらの言い訳が子供のそれと同じでしかないことを強くアピールすることになる。「それは単なる言い訳だよ」「子供みたいじゃないか」とさとすより、「子供みたい」を実演した場面を次々と描いて見せることで、喫煙者一人ひとりに自分が語る「言い訳」の幼稚さを深く胸に刻み込ませているわけだ。
禁煙問題は世界共通。日本でも同じコンセプトで放送すれば、非常に効果を挙げられそうな気すらしてくる、印象深いCMといえよう。
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