運用方法4割、でも結果公表は1割ちょっと……公的年金の認知度事情

2010/12/15 12:10

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年金内閣府は2010年12月13日、年金積立金の運用に関する世論調査の結果を発表した。それによると、現在公的年金の積立金の運用方法について知っている人は4割であることが分かった。年金受給開始年齢に近づくほど、認知者が増える傾向にある。一方、運用結果について四半期ごとに公開されていることを知っている人は、わずかに一割強でしかなかった。公的年金においては、運用方法までを確かめてそこで安心してしまい、結果はあまり気にしない傾向があるようだ(【発表リリース】)。



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今調査は2010年10月14日から24日にかけて、全国20歳以上の人から層化2段無作為抽出法で選ばれた3000人を対象に、調査員による個別面接聴取法によって行われたもの。有効回答数は1981人。男女比は1464対1536。年齢階層別回答数は20代145人・30代306人・40代327人・50代365人・60代430人・70歳以上408人。

公的年金の積立金の運用について、現在は「国債など債券を中心に一部株式をとりいれて市場運用されている」わけだが、これについて知っているか否かを尋ねた結果がこちら。全体では知っている人は4割、知らない人は6割近くに登っている。

↑ 年金積立金の運用方法の認知度
↑ 年金積立金の運用方法の認知度

「知らない」人は漠然と知らなかったのか、「正解を」知らなかったのか気になるところだが、もし後者だとしたら年金をどのような形で運用していると思っていたのか、こちらもまた聞いてみたい話ではある。

年齢階層別で見ると、冒頭で触れたように年金受給年齢に近づくにつれて認知度が高まり、60代では半数近くが「知っている派」に該当するようになる。興味深いのは40-60代で「知らなかった」層がほとんど変わらず、経年と共に「あまり知らなかった」人が減り、その分「ある程度知っていた」が増えているのが確認できること。ぼんやりとした認識だった人が、自分がもらえる時期が近付くにつれ、それなりに調べるか人に聞くかなどで知識を得て、ある程度知る立場についたと考えて良さそうだ。

しかしながら運用方法は知っていても、結果を公表していることまでは気が回らない、というよりあまり関心が向かないようだ。【年金積立金管理運用独立行政法人の各年度の状況ページ】に、四半期毎の運用結果を公知しているのだが、これを知っている人は1割強でしかない。

↑ 年金積立金の運用結果の公表についての認知度
↑ 年金積立金の運用結果の公表についての認知度

【公的年金の運用を知っている人は6割近く、テレビと新聞が主な情報源】でも触れたが、公的年金に関する情報はテレビと新聞から取得する人がほとんど。インターネットの公式ページなどで一次情報が公開されている人は1割程度しかいない。これではテレビや新聞などが恣意的な説明をしても信じてしまうし、「ハテナ」を頭に思い浮かべても「調べるすべがない」と考えてしまう。

仕方がない、といわれればそれまでだが、公的年金への注目度がここまで高まっている昨今においては、もっとハードルの低い方法で、公的に一次情報を周知させる方法を模索しても良いのではないだろうか。


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