公的年金の運用を知っている人は6割近く、テレビと新聞が主な情報源

2010/12/14 12:10

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年金手帳内閣府は2010年12月13日、年金積立金の運用に関する世論調査の結果を発表した。それによると、現在公的年金の積立金の運用について、知っている人は6割近くに達していたのに対し、知らない人も4割を超えており、認知度そのものは十分とは言えない範囲に留まっていることが分かった。一方、知っている人が情報源として用いた媒体、全体として政府側に要望する運用情報の提供媒体双方で「テレビ」「新聞」が上位についており、これらの媒体の「正しい」啓蒙が広く求められているにも関わらず、現実問題としては不足状態にあることをうかがわせる結果が出ている(【発表リリース】)。



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今調査は2010年10月14日から24日にかけて、全国20歳以上の人から層化2段無作為抽出法で選ばれた3000人を対象に、調査員による個別面接聴取法によって行われたもの。有効回答数は1981人。男女比は1464対1536。年齢階層別回答数は20代145人・30代306人・40代327人・50代365人・60代430人・70歳以上408人。

公的年金の積立金の運用について、単純に知っているか否かを聞いたところ、良く知っている人は11.8%、ある程度知っている人は44.5%となり、合わせて56.2%(端数処理のため単純計算とは異なる結果となっている)が知っていると回答した。

↑ 年金積立金の運用の認知度
↑ 年金積立金の運用の認知度

一方で「知らなかった」は18.2%、「あまり知らなかった」は24.5%となり、合わせて「知らない」派は42.8%。グラフ化は略するが、当然ながら若年層の方が「知らない派」が多い。

では「知っている派」は何を頼りに認識したのか。その媒体について聞いた結果が次のグラフ。「テレビ」「新聞」と二大既存メディアが上位を占め、次いで口コミ情報が続いている。

↑ 年金積立金の運用の情報源(運用について「よく知っていた」「ある程度知っていた」人、複数回答)
↑ 年金積立金の運用の情報源(運用について「よく知っていた」「ある程度知っていた」人、複数回答)

インターネット経由で知った人はわずか12.2%でしかなく、口コミ情報にすら手が届かない状態なのが現状。

また、知っている・知らない両派、つまり全員に対し「政府側に求める」年金積立金の運用に関する情報提供に必要な媒体としても、「テレビ」や「新聞」への支持が圧倒的多数なのが確認できる。

↑ 政府側への要望として、年金積立金の運用に関する情報提供に必要な媒体(複数回答)
↑ 政府側への要望として、年金積立金の運用に関する情報提供に必要な媒体(複数回答)

ニーズも存在し、実際に知っている人の多くは利用している。にも関わらず認知度が6割足らずに留まっている状況を見ると、現在の「テレビ」や「新聞」は公的年金に関する情報において「適切かつ正しい情報を公知する媒体」としての期待が寄せられているにも関わらず、その期待に十分応えてはいない現状がすけて見える。

なお「知っている」人においても、その情報が正しいか否かまでは今回の調査では調べられていないので、精査することはできない。【年金資金の運用状況】などでも言及しているが、テレビや新聞、雑誌などの年金周りの情報は、半ば意図的、あるいは恣意的にネガティブな情報が大きく伝えられたり、場合によっては誤認識・間違いなものが語られることが少なくない。その方が受けが良く、メディアとしても商売になるからだ(これについては【最近ストップ安が目立つのはなぜだろう】などで解説している)。しかし商売のツールとしてメディアならそれでも良いが、公的情報の公知という観点では責務を果たしているとは言い難い。



今調査結果を見る限りでは、公的機関による報道媒体・番組の運営(番組は一部存在するが、もっと大規模に)、あるいは第三者機関による精査や解説を行う公知の場が必要なのではないかと思えてくる。その立ち位置に付き得るのがインターネットではあるのだが、肝心の利用ツールが普及浸透過程にあること、そして何よりも年金運用に関する「初心者向けのコンテンツ」が圧倒的に足りないのが現状。

法的絡みもあるが、ニーズは間違いなく存在している。ハードルを低くする仕組みはいくらでも他業界が実践している(【欧州金融危機をゲームで体験「ECONOMIA - The Monetary Policy Game」】なども好例)。やり方次第ではいくらでも伸びる市場のはずなのだが……。



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