メリットがすぐに分かるケーブルテレビの広告
2010/12/16 06:13
視聴課金制でない限り、テレビ放送にはコマーシャルが付きもの。コマーシャルを番組内に組み込み、それを視聴者に見てもらい、商品やサービスを認知してもらう。その代り放送局側は、コマーシャルを出稿した企業から広告料をいただくという仕組み。しかし視聴者の立場からすれば、コマーシャルは極力短い方が良い。例えばサッカーの試合で白熱した攻防戦が繰り広げられている最中に、5分も10分もコマーシャルで寸断され、中継に戻ってみたら試合が終わっていた、などと言うことになったら……テレビ局に対してどのような思いが沸き起こるかは、容易に想像がつく。チリのケーブルテレビ局「TVN Channel」では、コマーシャルを極力短くすることをセールスポイントの一つとしている。それがひと目で分かるのが、今回紹介する広告である(【Creative Criminals】)。
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↑ イケアの短縮ロゴ
色と文字のスタイル、デザインで、あの「イケア(IKEA)」の広告だということはイメージ的に分かる。しかし良く見ると「IKEA」ではなくて「IA」となっている。「TVN Channel」のセールスポイントである「コマーシャルの時間が短い」を「だからブランドのロゴも短縮されてますよ」と例えて「実践」して見せているわけだ。「うちってコマーシャル、短くしてるでしょ。だから全部表示するヒマもないのよ。でも分かるよね、IKEAさんの広告だってこと」という、商売上手な営業担当の声が聞こえてきそう。
同様のパターンを用いた、他企業ロゴのバージョンも存在する。
↑ ハイネケン
↑ コカコーラ
それぞれ「ハイネケン(Heineken)」「コカコーラ(CocaCola)」の広告を短縮し、やはりコマーシャルの短さを強調している。文字はそれぞれ2文字しかないが、デザインや色の配色でどこの会社のものかはすぐに分かる。もちろん勝手に企業ロゴを描きかえてはいけないので、それぞれの企業の許諾を得た上でのデザインだろうが、対象企業のアピールもでき、自社の特徴を強力に印象づけ、観た人の心に刻ませる、シンプルで大変優れたやり方といえよう。
「TVN Channel」では違った切り口・同様のコンセプトで「コマーシャルの短さ」をアピールする広告も展開している(【The Ads of the world】)。
↑ 映画「キル・ビル」のワンシーンだが……
映画「キル・ビル」のワンシーン。良く見ると中央やや右側に細いスリットが走っていて、それがハンバーガーのコマーシャルであることが分かる。つまりそれだけ「うちのテレビなら短いコマーシャルですよ」というのが静止画でもイメージされるわけだ。これが例えばコマーシャルの多い放送局なら、このスリットの幅が広くなり、本数も数倍に増えることだろう。
今件「TVN Channel」の広告たちは、ロゴの短縮化にしてもワンシーンへのスリットの挿入にしても、「動態」というテレビ放送における特徴をポスター・画像という「静態」で表現することに成功している。「広告の短さをアピールするための広告」という禅問答的な感もあるが、見事な手法と評することができよう。
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